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Azure Stack HCI 23H2 が GA しました

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本ブログでも Azure Stack HCI 23H2 プレビュー (25398.584) を展開する際のメモ で検証をしていたのですが、Azure Stack HCI 23H2 の一般提供 (General Available) されました。23H2 の GA により、AVD for Azure Stack HCI も GA となっています。

23H2 のリリースノートはこちらから。

 

Azure StackHCI 22H2 から 23H2 へのアップグレードについては、About Azure Stack HCI, version 23H2 deployment に次の記載があり、現時点では、インプレースアップグレードシナリオはサポートされていないようです。

Important

Azure Stack HCI, version 23H2 is the latest GA version, which doesn’t support upgrade from version 22H2. Begin with a new 2311 deployment, update to 2311.2, and strictly follow version 23H2 deployment instructions. Don’t mix steps from version 22H2 and version 23H2.

GA のアナウンスには次の記載がありますので、22H2 からアップデートについては、今後の状況をウォッチしておく必要があるのではないでしょうか。23H2 からは標準で Arc リソースブリッジの展開も行われますので、アップデートが実施できるようになった場合にどのような対応をすればよいのかは気にかかりますね。

Coming soon: update from 22H2 to 23H2

Azure Stack HCI will offer an in-place update from version 22H2 to version 23H2. This is our fourth annual release since launching as a subscription service, and we’re heartened by our customers’ success keeping Azure Stack HCI up to date: over 97% of clusters are running the latest version, 22H2.

This year’s update is the most advanced yet: every cluster will get the Azure Arc infrastructure, the Lifecycle Manager, and more during the update. Our highest priority is to ensure that the update is seamless, so we’re taking some extra time for testing. We expect to start offering the update to a few customers as soon as next month, gradually expanding to everyone over the course of the year. Thank you for your patience as we get this right.

Until the 23H2 update has been offered to everyone, we’ll continue supporting version 22H2.

There is no end date for Azure Stack HCI version 22H2 servicing or support at this time.

GA 時点の情報を整理

まだ検証ができていないのですが GA 時点の情報を整理しておきたいと思います。

ドキュメント

23H2 の GA 後のドキュメントとしては次の内容を確認しておく必要があるのではないでしょうか

Azure Stack HCI 23H2

AKS on Azure Stack HCI

Azure Arc VM Management

AVD for Azure Stack HCI

Arc Jump Start

 

HCI23H2 の新機能

HCI23H2 では次の機能が新機能として実装されており、機能検証を行う際にはこれらがターゲットとなるのではないでしょうか。

 

GA 時点のビルドバージョン

リリース情報については  Azure Stack HCI, version 23H2 release information に記載されています。

GA のビルドバージョンは「10.2311.2.7 (25398.643)」となったようです。

 

サポートされる言語と Azure のリージョン

サポートされる OS の言語

Azure Stack HCI23H2 は、クラスターの展開時にリソースブリッジ用の AKS が同時に展開されます。

Windows Server / Azure Stack HCI に対して AKS を展開する際に使用される Azure Arc Enabled AKS では 推奨されるコンピューティング要件 として次の制約があります。

各 OS では、 en-us リージョンと言語の選択を使用する必要があります。 インストール後にこれらの設定を変更することはできません。

23H2 では、AKS が自動的に展開されるため、日本語版の OS で展開をした場合のサポート状況が気になり確認をしていたのですが、確認の結果として現時点でサポートされるのは、上述の要件と同様で en-us リージョンと言語を選択してインストールをした環境のみとなるようで、日本語の ISO を使用してインストールした環境は非サポートとなるということでした。

現状、日本語の ISO を使用してインストールした環境では拡張機能のインストールが正常に行われないという問題があるため、そもそもとして日本語のインストールメディアを使用して 23H2 をセットアップすること自体ができないのですが、セットアップができるようになったとしても現時点では非サポートの言語となるということは注意が必要となります。

この点に関しては、非英語圏で利用する場合には重要な制限となるかと思いますので、情報の公開については検討していただけるようです。

「現時点のサポート状況」として確認をしたものとなり、今後日本語環境のサポートが追加される可能性があるかもしれませんが、この投稿を記載している 2024/2/11 時点では、英語版メディアを使用したインストールが必要となってきます。

サポートされる Azure のリージョン

Azure Stack HCI23H2 がサポートされる Azure のリージョンについては Azure の要件 に記載されており、2024/2/11 時点では次の 2 リージョンのサポートとなっています。

  • 米国東部
  • 西ヨーロッパ

Azure のリージョンについては順次サポート対象となるリージョンを拡大予定ということなので、OS のサポート言語とは異なり、日本リージョンのサポートも計画されているようです。

2024/2/4 時点の GA ビルドバージョンのインストール方法

2024/2/4 時点で Azure Portal からダウンロード可能な、ISO については「25398.469.231004-1141.zn_release_svc_refresh_SERVERAZURESTACKHCICOR_OEMRET_x64FRE_en-us.iso」となっており、これは 23H2 プレビューの段階で提供されていた ISO と同様となっていました。

上記の ISO + KB5034130 をプレビュー版に適用した状態のビルドバージョンは、「10.2311.0.26」となり、GA のバージョンにするためには、アップデートが必要となります。

次の手順を実施することで、2311 から、 2311.2 の環境にアップグレードすることができます。

  1. ポータルから入手した上記の ISO を使用してインストール
  2. Use Azure Update Manager to update your Azure Stack HCI, version 23H2 を実行
    image

この手順を実行することで、OS のバージョンを 10.2311.2.7 にアップグレードすることができます。

image

私が更新を適用していた際にはポータルから実行していたのですが、エラーが発生していました。

ポータルからの適用が正常に完了できなかったので、Troubleshoot solution updates for Azure Stack HCI, version 23H2 に記載されている「Get-SolutionUpdate | Start-SolutionUpdate -IgnoreWarnings」を実行し、「Get-SolutionUpdate」の State が「Installing」となっており、「UpdateStateProperties」から進捗が進んでいることを確認しながら適用を行いました。(「Get-SolutionUpdate | ft ResourceId, InstalledDate, State, UpdateStateProperties, KbLink, PackageSizeInMb」 で実行状況を確認)

PowerShell を使用して Azure Stack HCI バージョン 23H2 を更新する についても一度目を通しておくとよさそうです。

 

既知の問題

現時点の既知の問題については、Azure Stack HCI 2311.2 の一般提供リリースで既知の問題を表示する に記載されています。

「以前のリリースの既知の問題」「このリリースの既知の問題」に記載されている内容が現状発生している問題となります。

当ブログでも Azure Stack HCI 23H2 プレビュー (25398.584) を展開する際のメモ で検証をしていますが、この検証時に判明した問題のいくつかは現時点でも既知の問題となっているものがあるようです。

 

Azure Stack HCI の拡張機能

Azure Stack HCI ホストの拡張機能のバージョンがプレビューから変わっているようで、拡張機能の更新を行いながら、最終的には次のバージョンが導入されている状態となりました。

  • DeviceManagementExtension: 0.2.02538.55
  • LcmController: 30.2402.0.8
  • TelemetryAndDiagnostics: 1.0.2.0
  • EdgeRemoteSupport: 0.1.12.0

ひとつ意識をしておいたほうが良いのが、拡張機能のバージョンと展開に使用されるパッケージのバージョンは統一されていないということです。

拡張機能をインストールする際には、様々なパッケージがダウンロードされて展開されますが、パッケージのバージョンは拡張機能のバージョンによって固定化されておらず、同一バージョンの拡張機能でも展開する時期に応じて、展開に使用するパッケージのバージョンが変わっている可能性があります。

これによって、拡張機能のバージョンは変わっていないが、あるタイミングから展開が失敗し、少し日を置いてから展開が成功するようになったということが実際に発生しました。

 

拡張機能がインストールできない場合の注意事項

Azure Stack HCI の最初の関門として拡張機能のインストールが成功するか否かがあります。

以下は、HCI の拡張機能のインストールについての SR を発行する際に提示されるソリューションとなるのですが、タイムゾーンの UTC の設定についてアドバイスが行われます。

 

この問題を回避するには、以下の手順を使用します。

  1. Azure Portal 内で、Azure Stack HCI 23H2 デプロイで使用するリソース グループに移動します。
  2. Azure Stack HCI ノードを表すオブジェクトを除き、リソース グループからすべてを削除します。 これらは、マシン – Azure Arc の種類で識別できます。重要: RG からノードを削除しないでください。
  3. ノード オブジェクトの 1 つをクリックし、左側のメニューで [拡張機能] を選択します。 3 つの拡張機能 (TelemetryAndDiagnostics、AzureEdgeDeviceManagement、, and AzureEdgeLifecycleManager`) が正常であり、状態が 成功 であることを確認します。
  4. 各 Azure Stack HCI ノードにサインインし、コマンド Set-TimeZone -Id "UTC" を使用してタイム ゾーンを UTC に変更します。
  5. ノードを再起動します。
  6. ノードが再起動したら、Get-Service LcmController コマンドを使用して、LCM サービスが実行されていることを確認します。
  7. 好みの方法を使用して、デプロイを再起動します。

または、HCI ノードの再読み込みを行い、デプロイを試みる前にタイム ゾーンを UTC に設定します。

バージョン 2310 の問題 として UTC を設定することで回避できる問題があったのですが、GA 後のバージョンでも拡張機能のインストールが失敗する場合には、タイムゾーンを UTC に変更することも検討してみるとよいのではないでしょうか。

また、2311.0 の問題 として報告されていた agentconfig.json の書き換えを行わないと、Arc VM 管理の拡張機能のインストールが完了しない問題については 2024/2/12 時点では解消されていましたので、こちらについては現状は不要になっていると思います。

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Written by Masayuki.Ozawa

2月 2nd, 2024 at 8:43 am

Posted in Azure Stack HCI

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