本日より Build 2025 が開催され、SQL Server / SQL Database について、いくつかのアナウンスがありましたのでまとめておきたいと思います。
Microsoft Build 2025 BOOK OF NEWS から全体的なアナウンスを確認できます。
SQL Server ベースの環境については、2.2.9. Reimagine database development with SQL Server solutions がアナウンスとなり、SQL Server 2025 が主なトピックとなるのではないでしょうか。
Contents
Build 2025 に伴うアナウンス
ドキュメントの更新
SQL Server / SQL Database のドキュメントと SSMS のドキュメントが更新されており、Build 2025 のタイミングでどのような更新があったかについては、これらのドキュメントの更新履歴から確認を行うことができます。
- Release build 2025 release (#34133) (#34138): SQL 関連の更新
- [BUILD] Stage Build 2025 content [PLEASE SQUASH] (#470) : SSMS の更新
SQL Server 2025 Preview (CTP 2.0) の提供開始
SQL Server 2025 の Public Preview が公開され、次のようなアナウンスが行われています。
- SQL Server 2025 – AI ready enterprise database from ground to cloud
- Announcing SQL Server 2025 (preview): The AI-ready enterprise database from ground to cloud
- Building Intelligent AI Apps with Microsoft Databases
SQL Server 2025 については、Ignite 2024 で発表 され、当初は Private Preview で一部のユーザーにのみ公開されていたものが、今回、Public Preview (Community Technical Preview: CTP 2.0) となり、広い範囲のユーザーで評価ができるようになりました。
SQL Server のドキュメントにも SQL Server 2025 Preview のドキュメントツリーが追加されており、今回のバージョンで追加される主要な機能については、以下のドキュメントから確認することができます。
公開されたドキュメントを軽く確認した範囲では、今まで公開されていた情報でも大きく取り扱われていた AI 関連の機能 が大きな機能強化となるのではないでしょうか。
また、SQL Server 2025 ではデータベースの互換性レベルが 170 となり、SQL Database では先行して公開されていた、互換性レベル 170 を使用できるようになりました
SQL Database で互換性レベル 170 が公開されたタイミングではドキュメントの公開は有りませんでしたが、今回のタイミングで Differences between compatibility level 160 and level 170 も公開されています。現時点では、互換性レベル 160 と 170 では、大きな変更はなさそうですね。
Discontinued services として、Data Quality Serivces (DQS) / Master Data Services (MDS) / Synapse Link が対象となり、今回のバージョンからこれらの機能は廃止となります。(Synapse Link は Fabric Mirroing への移行を推奨)
SQL Server 2025 関連の記事
SQL Serve 2025 に関連しては、機能単位の紹介として、次のような記事が公開されました。
- SQL Server Blog
- SQL Server 2025: introducing optimized Halloween protection
- SQL Server 2025: introducing tempdb space resource governance
- Announcing Public Preview of DiskANN in SQL Server 2025
- Announcing the General Availability (GA) of JSON data type and JSON aggregates
- Announcing the Public Preview of JSON index in SQL Server 2025
- JSON Index については、以前の発表でも少しだけ話に出ていたのですが、実装は今回初めてアナウンスされているかと。
- JSON サポートは SQL Database で先行して実装されていますが、現時点では JSON Index については、SQL Server 2025 でのみ利用可能となり、SQL Database では利用できないようです
- Azure SQL Devs’ Corner
- Azure SQL Blog
- Build 2025 セッション
大きな機能強化としては AI (ベクターサポート / 外部モデルの呼び出し) となりますが、一般的なデータベース部分についても機能強化されており、先行して機能が導入されている SQL Database にも現時点では含まれていない機能が SQL Server 2025 で導入されていますので、追加された機能のキャッチアップは必要ですね。
SQL Server 2025 のコンテンツ
Bob Ward の OneDrive / GitHub のリポジトリで SQL Server 2025 のコンテンツが公開されています。
スライドに各種情報の URL も記載されていますので、これらの情報も参考になります。
日本語 OS に SQL Server 2025 CTP をインストールする際の注意点
現時点では、CTP 2.0 は英語版のメディアのみ提供が行われているようです。
Public Preview から、SQL2025-SSEI-Eval.exe をダウンロードして実行することで、SQL Server 2025 のセットアップを進めることができます。
しかし、2025/05/20 時点では、日本語の言語設定がされている OS から CTP 2.0 をインストールしようとすると、次のような動作となり、インストールを行うことができませんでした。
- Basic / Custom : SQL Server 2022 がインストールされてしまう。
- Download Media: The following error was encountered that prevents SQL Server Installer from continuing:指定されたバインディング制約に一致する型 ‘Microsoft.Sql.Installer.UI.ViewModels.MediaDownloadPageViewModel’ のコンストラクターの呼び出しで例外がスローされました。 のエラーが発生し、メディアをダウンロードできない
このような事象が発生した場合は、次のような対応を行う必要があるようです。
- OS を英語版の環境に切り替えて SQL2025-SSEI-Eval.exe を実行しインストールメディアを入手
- 日本語 OS の環境で「SQL2025-SSEI-Eval.exe /ENU」を実行
- X で、この方法でも対応できることを教えていただきました。
初めまして。
管理者権限のコマンドラインで /ENU オプションを指定すると、日本語環境の状態のままでも英語版をインストールできました。
SQL2025-SSEI-Eval.exe /ENUhttps://t.co/YaUjvxQIjy
— 消化試合 (@syouka_ziai) May 28, 2025
上記のような方法で、インストールメディアを入手することで、 SQL Server 2025 CTP 2.0 のインストールを、日本語環境でも実施することができます。
SQL Database の一部機能の一般提供の開始
SQL Database でいくつかの機能 (Hyperscale の機能 / JSON サポート) が GA しています。Azure SQL Blog の次の記事から、今回のタイミングで発表されたアップデートを確認出います。
次のドキュメントでも、上記の記事の機能が GA したことが確認できます。
SSMS 21 の一般提供の開始
SSMS 21 の GA(一般提供) が開始され、新機能について、次の記事が公開されています。
- SQL Server Blog
- SQL Server Management Studio (SSMS) 21 is now generally available (GA)
- Announcing the preview of Copilot in SQL Server Management Studio (SSMS)
- Azure Space Blog
GA に伴い、リリースノート等の情報も更新されています。
- Release notes for SQL Server Management Studio (SSMS)
- SQL Server Management Studio product roadmap
- 将来的な ARM 64 サポートがロードマップに記載されていますが、現時点では Known issues in SQL Server Management Studio に記載されている通り、SSMS 21 は ARM 64 はサポートされていません。
SSMS 21 の最大の特徴として Copilot in SSMS がありますが、今回のリリースに伴い、プレビュー機能として使用することができるようになりました。
使用するには Azure Open AI の設定が必要となりますが、SSMS の Copilot を使用することで、クエリエディターで接続している DB に対して、接続ユーザーの権限で、自然言語で各種情報を確認することができるようになります。
SSMS 21 がサポートする SQL Server のバージョンは Is SSMS 21 compatible with previous versions of SQL Server? に記載されており、SQL Server 2019 以降と Azure SQL に対して接続ができますのでこれらのバージョンが SSMS の Copilot をサポートするバージョンとなるかと。
Copilot のユースケースについては、Scenarios for Copilot in SQL Server Management Studio から確認することができます。
Visual Studio Code の MSSQL Extension の機能拡張
VS Code の MSSQL 拡張機能 に機能が追加されています。
- Azure SQL Devs’ Corner
- MSSQL Extension for VS Code: New UI Goes GA and GitHub Copilot Enters Preview
- MSSQL Extension for VS Code: Introducing Schema Designer (Preview)
GitHub Copilot と MSSQL 拡張の統合の他に、いくつかの機能の追加が行われていますので、Preveiw 機能として追加されているものはキャッチアップしておきたいですね。