前回の Update: SQL Server / SQL Database Update (2024/03/04~2024/05/12)
半年近くまとめられていませんでした…。
直近の情報を把握できていないこともあったのでまとめておきたいと思います。
- Azure Upadtes
- Azure Updates はメンテナンス中のため、5/6 月については、すべてを網羅できていないかと思います。
- Preview
- GA
- Generally Available: Azure SQL updates for late-June 2024
- Generally Available: Azure SQL updates for mid-August 2024
- Generally Available: Cross Region Restore of SQL and HANA database backups from a vault with Private Endpoints enabled
- Generally Available: Azure SQL Database Hyperscale elastic pools
- Generally Available: Azure SQL updates for early-October 2024
- Retirement
- Azure SQL Blog
- SQL Server Blog
-
SQL Server
-
Azure SQL
-
Azure Arc
Azure SQL Database
Preview
Hyperscale でデータベースファイルの縮小をサポート
Hyperscale で DBCC SHRINKFILE によるデータベースファイルの縮小がサポートされました。
vCore モデルはコンピューティングとストレージのコストが独立しており、ストレージについてはファイルに割り当てられているサイズの分コストが発生します。
そのため、一時的にストレージが肥大化した場合などは SHRINK によりデータベースファイルの縮小を実施しないと、未使用分がストレージコストとして継続的に計上される状態となってしまいます。
Hyperscale では SHRINK による縮小がサポートされていなかったため、一度拡張されたファイルについては、未使用分が大きくても縮小することができず、未使用分の縮小によるストレージコストを削減することができませんでした。
Azure SQL Database Hyperscale ? lower, simplified pricing! でアナウンスされましたが、2023/12/15 以降に展開された環境は従来と比較してストレージコストは高くなっていますので、SHRINK による未使用領域の解放はコスト削減に繋がる可能性があります。
UNISTR 関数と || による文字列連結のサポート
Unicode のコードポイントで文字列を操作するための UNISTR 関数 と、|| による結合ができる操作 のサポートが追加されました。
どちらも現時点では、SQL Database のみで実装されている機能となり、それ以外の環境では使用することはできません。
|| による文字列連結については、||= の操作も新たにサポートされており、結合と代入を同時の行うこともできるようになっています。
可用性のメトリックの提供
Azure モニターで DB の可用性の状態を示すメトリックの提供が開始されました。
メンテナンスのような短時間の接続不可については、検知できないようですが、分単位で接続ができないような状況になった場合は、このメトリックで確認ができるのではないでしょうか。
VECTOR サポート
SQL Database で VECTOR サポートとして次の機能の EAP が開始されました。
- Announcing EAP for Vector Support in Azure SQL Database
- EAP for Vector Support Refresh ? Introducing Vector type
埋め込みのためのデータを SQL Database 単体で作成することはできないのですが、計算済みの埋め込みを使用した VECTOR 検索や、VECTOR データを格納するための VECTOR データ型のサポートが行われ、データの検索を行う際にデータの関連性の距離を使用した条件指定ができるようになります。
GA
Hyperscale の名前付きレプリカのゾーン冗長の一般提供開始
Hyperscale では読み取りワークロードの効率化のため、名前付きレプリカ を作成し、読み取りワークロードをオフロードすることができます。
Hyperscale のプライマリレプリカでは ゾーン冗長 をサポートしていたのですが、このサポートが名前付きレプリカにも拡張されました。
Hyperscale のゾーン冗長は作成時にのみ設定することができ、名前付きレプリカのゾーン冗長はプライマリレプリカでゾーン冗長が設定されている必要があるという条件がありますが、読み取りワークロードのシステム継続性を向上させる手法として使用できることを覚えておくとよいのではないでしょうか。
Hyperscale の名前付きレプリカのメンテナンスウィンドウの設定の一般提供開始
前述の Hyperscale の名前付きレプリカに対して メンテナンスウィンドウ (メンテナンス期間) を設定できるようになりました。
設定できるメンテナンス期間は従来と同様となりますが、読み取りワークロードのメンテナンスタイミングを制御するための機能を使用することができます。
Hyperscale のエラスティックプールの一般提供開始
Hyperscale のエラスティックプールの一般提供が開始されました。
Hyperscale のデータベースを複数作成する場合に、エラスティックプールを使用することで、コスト / リソース使用状況の効率化につながる可能性があります。
一般提供に際してプレビューのタイミングと比較すると次のような機能サポートの改善が行われたようです。
- ゾーン冗長性
- Premium シリーズハードウェア
- 予約容量
- メンテナンスウィンドウ
ライセンスフリーのスタンバイレプリカの一般提供開始
SQL Database でスタンバイレプリカを読み取り目的で使用せず、災害対策のリカバリでのみ使用する場合、ライセンスコストを削減して稼働させることができるライセンスフリーのスタンバイレプリカの一般提供が開始されました。
読み取りワークロードに使用しない場合は、この設定を使用することでコスト削減につなげることができる可能性があります。
監査ログデータの読み取りの効率化
SQL Server ベースの環境では監査ログを読み取る際には、sys.fn_get_audit_file を使用してログへのアクセスを行っていました。
これまでの監査ログの読み取りはファイル名のパスのパターンを使用してどのファイルを読み取るかを指定していたのですが、SQL Database では、sys.fn_get_audit_file_v2 という新しい関数が提供されました。
この関数では、引数に時間を指定することができるようになっており、監査ログへのアクセス効率の向上が行われています。
新規作成 DB の互換性レベル 160
新規に作成したデータベースの互換性レベルのデフォルトが SQL Server 2022 の 160 となったようです。
Serverless の自動停止の最小時間の変更
Serverless の利用形態は使用されていない状態が一定時間継続されると自動停止される機能が提供されています。
今まではこの機能で指定できる自動停止の最小時間は 1 時間となっていたのですが、今回のアップデートで最小時間が 15 分に短縮されました。
これにより、従来より短い時間で自動停止を発動することができるようになり、コストの最適化につなげられる可能性があります。
Retirement
Azure SQL Edge の提供停止
2025/09/30 で Azure SQL Edge 提供停止がアナウンスされました。
日本語版の情報にはまだ反映されていませんが、What is Azure SQL Edge? には次の記載が追加されています。
Azure SQL Edge will be retired on September 30, 2025. For more information and migration options, see the Retirement notice
移行先としては従来の SQL Server ベースの環境が推奨されています。
現状、SQL Database 向けの Dev Container では Azure SQL Edge のイメージが使用されていますが、これは今後どのようになっていくのでしょうか。
SQL Insights の提供停止
Linux VM にエージェントを導入し、SQL Server ベースの環境の情報を取得して Log Analytics ワークスペースで可視化を行う、SQL Insights という機能がプレビューで提供されていたのですが、この機能が 2024/12/31 に提供停止されることがアナウンスされました。
移行先としては Database Watcher が推奨されています。
Database Watcher のほうが取得される情報が多岐にわたり精度が向上していますので、取得される情報については、こちらで十分に賄うことができるかと。
SQL Data Sync の提供停止
SQL Database と SQL Server ベースの環境でデータ同期を行う機能である SQL Data Sync が 2027/09/30 で提供停止となることがアナウンスされました。
Data Sync は連携元のテーブルに対してのスキーマ変更の発生や、ハブデータベースが必要となり、構成時の考慮が必要で適用するのが難しいイメージがあったのですが、提供停止となってしまったようですね。
Azure SQL Managed Instance
Preview
Windows 認証メタデータモードを使用したネイティブ Windows プリンシパルの利用
SQL MI は、最小限の対応によるクラウドへのリフト & シフトが意識されている DB となるため、従来から Entra ID を使用した Windows 認証 がサポートされていました。
今回、Windows 認証メタデータモードによるネイティブ Windows プリンシパルの利用 という Windows 認証 / Microsoft Entra 認証を使用可能にするための設定が新たに追加されたようです。
従来までは Windows 認証用のログインの作成を「FROM EXTERNAL PROVIDER」として実行していましたが、ネイティブ Windows プリンシパルになると、通常の Windows ログイン認証と同様に、「FROM WINDOWS」で作成できるようになります。
まだ検証ができていないため、従来のものとどのような差が出るのかを把握できていませんが、Windows 認証だけでなく、Entra 認証にも関連があるため、時間のある時に一度検証してみたいと思います。
JSON サポートの強化
SQL Database でプレビューが開始されている JSON データ型 と JSON_OBJECTAGG / JSON_ARRAYAGG 関数が SQL MI でもサポートされるようになりました。
ネイティブな JSON データ型がサポートされるようになったことで JSON フォーマットのデータを nvarchar(max) に格納するより効率的に格納することができるようになります。
JSON サポートの強化は SQL Server 2022 には含まれていない JSON の機能強化の内容となるため、更新ポリシーを Always-up-to-date にしておく必要があります。
VECTOR サポート
SQL MI でも VECTOR サポートが EAP で提供されるようになりました。
VECTOR サポートは新機能のため、更新ポリシーを Always-up-to-date としておく必要があるようです。
GA
計画メンテナンスの事前通知の一般提供開始
SQL Database / SQL MI では、計画メンテナンスの事前通知 を行う機能がありますが、この機能の一般提供が開始されました。
SQL Database では、次の 制約 があり システム既定のメンテナンス期間を使用している場合、事前通知が行われません。
Azure SQL Database では、事前通知は、システム既定のメンテナンス期間オプションでは構成できません。 事前通知を構成して有効にするには、システムの既定以外のメンテナンス期間を選択します。
SQL MI では、この制約はないため、システムの既定のメンテナンス期間を使用している場合でも事前通知を受け取ることができます。
アップデートポリシーの一般提供開始
SQL MI は SQL Server とバックアップの互換性がありますが、SQL Server のバックアップは同一バージョンもしくはそれ以上でないとリストアができないという制約があります。
オンプレミスの SQL Server 2022 と相互運用を行う場合、SQL MI のバージョンは 2022 で固定化しておく必要があります。
特定のバージョンにロックした状態で更新を続けるための機能として アップデートポリシー がありますが、この機能の一般提供が開始されました。
デフォルトでは、SQL Server 2022 更新ポリシーとなっており、SQL Server 2022 と同一バージョンのデータベースエンジンが稼働することになります。
Always-up-to-date 更新ポリシーとすることで、常に最新のバージョンを使用するように設定することができます。
設定を一度変更すると戻すことができないため、設定時には注意する必要がありますが、SQL Server との相互運用が不要であり、即時に最新の機能を使用したい場合には、最新のバージョンを使用するポリシーを設定することもできるのではないでしょうか。
(SQL Server 2022 のライフサイクルサポートの終了である、 2033-01-11 までには、強制的に最新バージョンに変更されるとは思いますが)
SQL Server 2022 と SQL MI のオンライン災害対策の一般提供開始
SQL Server 2022 と SQL MI は Managed Instance Link を使用することで、組み合わせて災害対策の環境を構築することができます。
この機能は今まではプレビューでの提供となっていたのですが、一般提供が開始されました。
更新ポリシーを SQL Server 2022 に設定しておく必要がありますが、オンプレミスとクラウドを組み合わせた災害対策環境の構築を実現することができます。
SQL Server
Preview
SQL Server on Azure VM で I/O 分析機能の提供
Azure VM 上で実行している SQL Server で I/O の発生状況を分析するためのタブが追加されました。
GA
Azure VM の SQL Server ワークロードのリージョン管理ストアの機能強化の一般提供開始
Azure VM の SQL ワークロードのバックアップで、Azure Backup を使用している場合、Backup Vault でプライベートエンドポイントが有効になっている環境に対して、リージョン間の復元を実施できるような機能強化の一般提供の開始が行われたようです。