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SQL Server 2022 を従量課金で利用する際の参考情報

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SQL Server 2022 の新機能として、SQL Server の従量課金での利用があります。

「インストール」または「エディションのアップグレード」を実施する際に「Microsoft Azure を通じて従量課金制の課金を使用します」 (AZUREBILLEDEDITION オプション) を選択することで、従来からの永続化ライセンスではなく、SQL Server のデータベースエンジンを従量課金で利用することができます。(SQL Server のソフトウェアライセンスについてとなり、OS のライセンスは別途考慮する必要があります / データベースエンジンの利用に限定されていそうです。)

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この従量課金での利用については、SQL Server 2022 で初めて導入されたインストール形態となり、オンプレミスやそれ以外の環境にインストールした SQL Server 2022 を従量課金で利用することができます。

従量課金での利用は「Azure サブスクリプションへの課金」となるため、Azure サブスクリプションが必要 / SQL Server の利用料金は Azure の利用料金として発生することになりますが、様々な場所で実行している SQL Server 2022 を従量課金で利用することができるようになります。

従量課金での利用については、Azure Arc の SQL Server 用 Azure 拡張機能 により実現されているため、機能の詳細については SQL Server だけでなく Azure Arc の観点でも確認する必要があります。

使用する際に疑問に思う点は よく寄せられる質問 でまとめられているので、こちらも確認するとよいかと。

関連情報する情報を整理していたのですが、一通り情報が出てきたようなのでまとめておきたいと思います。

従量課金で利用する場合の料金

コアライセンス価格の基本的な考え方

従量課金で利用する場合の料金についても先日公開が行われ、Azure Arc の価格 から確認ができるようになりました。

料金については次のようになっています。

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従量課金での利用は Standard / Enterprise Edition でのみ可能となっており、これらのエディションについて従量課金で利用することができるようになります。(Web エディションはサポートされていません)

上記の料金は「1 コア」単位の価格となるのですが、最小のコア数については 従量課金制でコアの最小数はありますか に記載されています。

従量課金制によって、SQL Server のライセンス条項が変更されることはありません。 このため、SQL Server ライセンス条項で定義されている 4 コア制限の対象となります

従量課金での利用については、「コアライセンスでの利用と同等」となっており、最小のコア数は 4 コアからとなります。そのため、最小の利用価格は「上記の利用料金× 4 」となり、追加については 2 コア単位となるかと思います。

この利用形態は SQL Server on Azure VM で SQL Server を従量課金で利用する場合と同等になっています。

料金計算ツール で SQL Server on Azure VM を Standard Edition で 1 コアのサイズ (B1s) 上で利用する場合、SQL Server のソフトウェアライセンスは次のようになります。

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SQL Server のソフトウェアライセンスは「\40,528.14」となっていますが、これを 4 で割ると「\10,132.035」となります。

Enterprise Edition でも同様の確認をしてみます。料金計算ツールでは次のようになっています。

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「\151,980.52 / 4 = \37,995.13」となり、こちらで計算した場合も Azure Arc で記載されている料金と同様となります。

コストは Azure VM と同様にインスタンスが停止している場合は発生しないため、使用状況に応じた柔軟なコスト発生で SQL Server を利用することが可能となります。

 

Azure VM との違い

オンプレミスをはじめとした様々な環境で実行している SQL Server 2022 を Azure VM で実行した場合と類似のコストモデルで利用できるようになるのが本機能の特徴となりますが、現状、Azure VM で実行した場合との違いとしては、最小の実行時間の考え方があるかと思います。

Azure VM の場合は、Azure VM 上の SQL Server の料金ガイダンス使用した分を支払う に次のように記載されています。

Azure VM を実行する秒単位のコストに SQL Server ライセンスのコストが含まれることを意味します。

Azure VM 上で実行した場合は、秒単位の課金となります。

 

SQL Server 2022 の新機能による従量課金での利用については、Microsoft Azure による課金 の SQL Server インスタンスの実行時間が 1 時間未満の場合、課金されますか に次のように記載されています。

課金の粒度は 1 時間です。 インスタンスがアクティブだった時間が 1 時間未満の場合は、1 時間分の料金が請求されます。

従量課金での利用は 1 時間単位での課金となり、コスト発生間隔の最小時間が異なっています。

 

従量課金で利用するためには

従量課金での利用は SQL Server を Azure に接続する必要があります。

Azure との接続については、従量課金での利用を行う SQL Server の実行環境を Azure Arc 対応サーバー で Azure に接続し、Azure Arc の拡張機能として SQL Server 用 Azure 拡張機能 をインストールした状態にする必要があります。

Azure Arc を使用して SQL Server が Azure と通信できていない状態では、イベントビューアーや、SQL Server のエラーログに次のエラーが出力されるようです。

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Azure との通信状況については、このようなエラーが発生しているかどうかで確認ができるのではないでしょうか。

SQL Server から Azure へのアクセスについては、

というような接続形態を取ることができるので、これらのいずれかの接続形態を活用する必要が出てきます。

Azure Arc を使用した Azure の接続状況の確認には、次の情報を活用することができます。

 

稼働状況の確認には次のような情報を参照することになるのではないでしょうか。

  • 「azcmagent show」 コマンドを使用してエージェントの実行状況を確認
  • 「Azure Hybrid Instance Metadata Service」(himds) サービスの稼働状況を確認
  • エージェントの詳細ログ のログファイルを確認

 

従量課金での利用は よく寄せられる質問 の内容が参考になりますので、この情報は一読しておいたほうが良いかと思います。

SQL Server 2022 は既に提供が行われていますが、【値上げ】SQL Server 2022 の値上げアナウンスに関しまして というアナウンスが出ているようで、2023 年から価格改定が行われるようです。従量課金での利用については、現時点では対象とはなっていないようです。

製品のライセンス購入は毎回頭を悩ます内容となりますので、このような従量課金での利用が、製品の利用コストを考える際の簡素化につながる嬉しいですね。

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Written by Masayuki.Ozawa

12月 4th, 2022 at 5:50 pm

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