少しずつ確認していっている最中ですので、本投稿は随時更新しています。
Ignite 2024 で Azure Local のアナウンスがありました。
プロダクトの ランディングページ も公開されています。
今回の Azure Local のアナウンスに伴い Azure Stack HCI が Azure Local に名称が変更され、Azure Stack HCI の新しい名前 としてリブランディングの理由についてもドキュメントが公開されています。
2024/11/26 時点では、Azure Portal で Azure Local への変更は実施されていませんが、様々なアップデートが公開されていますので情報をまとめておきたいと思います。
アップデート
2411 リリースが提供され Azure Local への名前変更以外にも様々な機能強化が行われています。
Book of News に記載されている次のセッションでも新機能の発表が行われています。
- Adaptive cloud: Unify hybrid, multi-cloud and edge with Azure Arc
- Operate infrastructure across distributed locations with Azure Arc
- Azure Local の機能強化についてはこちらのセッションで把握できました。
機能強化内容としては、Azure Local バージョン 23H2 の新機能 の 2411 リリースの変更内容として記載されていますが、大きな機能追加のドキュメントとしては次のようなものが公開されています。
- Azure Stack HCI の新しい名前
- Azure Local Version 23H2 (プレビュー) の小規模なフォーム ファクター デプロイのシステム要件
- 自宅の小規模な環境で検証している個人勢にはこのタイミングで検証されるようになった ECC メモリのハードウェア要件がきつかったです…。
- 最大ノード数が 3 ノードにまでに制限されるようですが、1 台構成 / データ用ディスク 1 本 / 1Gbps/2.g Gbps / AD を使用せず Key Vault で構成された環境を小規模向けとして構成できるようになるようです。
- Azure Local の切断された操作 (プレビュー)
- Azure に接続せずに Azure Local を使用できる機能となりますが、プレビューの条件が厳しいのと AD FS が必要となるので検証は及び腰です。
- Azure Local で使用できるすべての機能はサポートされておらず、サブセットとなるため、現時点では Copilot / AVD / Microsoft Defender for Cloud 等、サポートされていない機能があるようです。
- コントロールプレーン用のアプライアンス VM がAzure Local 上に構築され、Portal の機能などが提供されるようです。
- Azure Key Vault でローカル ID を使用して Azure Local Version 23H2 をデプロイする (プレビュー)
- AD を使用せず Key Vault で認証を行うことで構成ができるようになります
- AKS on Azure Local バージョン 23H2 の新機能
- 2411 で AKS も機能強化されています。
Azure Local を小規模な環境に展開することができるようになり、新しい展開方法については Azure Local with low cost hardware でデモを交えて解説されています。この動画では 24H2 ベースの OS を使用しているため、かなり先行した環境でデモが行われている印象を受けました。
いくつかの機能は Limited Public Preview での提供となっているため、Public に検証するのは少し後になりそうですね。
また、Azure Arc サイトマネージャーの存在もこの動画で初めて知りました。
投稿を書いている時点の Azure Portal は Azure Local の対応が行われておらず、AD を使用せず Key Vault を使用した展開もできないようでしたので、これらの対応が行われた後に再度展開を確認したほうがよさそうだなと思いました。
Azure Arc Gateway も Public Preview となっていますのでこちらも確認が必要かと思っています。
ハードウェア要件のチェック内容が変更されたので困った件
個人的にインパクトが大きかったのが上述した Azure Local Version 23H2 (プレビュー) の小規模なフォーム ファクター デプロイのシステム要件 に伴い、ハードウェア要件の確認の強化が行われていたことです。
私は個人の環境で Azure Stack HCI の検証を進めています。
ハードウェアは Intel の NUC を使用しており、NCU に搭載されているのはコンシューマー向けの Intel の NIC となりますが、現在、Intel のコンシューマー向けの NIC の新しいドライバーでは RSS をサポートしなくなっています。
以前の HCI ではハードウェア要件のチェックに RSS の確認は含まれていなかったのですが、現在の HCI では RSS が使用できる NIC を展開時に選択しないと、ハードウェア要件のチェックでエラーとなるようになりました。
使用している NIC はドライバーのインストールの順序を工夫すると、RSS を認識させることができる状態で使用できるので、これは回避できていたのですが、新しく ECC メモリが使用されているかどうかのチェックが追加されたようです。
Azure Local Version 23H2 (プレビュー) の小規模なフォーム ファクター デプロイのシステム要件 のメモリ要件にECC メモリン記載があるのですが、展開時にこれが厳密に確認されるようになっています。
Intel の NUC には、DDR4 の SODIMM のメモリを使用しているのですが、Non-ECC のメモリとなるためメモリ要件が満たせなくなりました…。昨日、HCI の環境を再構築していてこの要件が追加されていることに気づきました。
ハードウェア要件の確認ですが、LCM がインストールされた後に使用できるコマンドレットの、「Invoke-AzStackHciHardwareValidation」で検証が行われています。
Non-ECC メモリの環境では、次のようなエラーとなり、ハードウェアの検証を成功させることができなくなりました。
展開時の実際のチェックは「C:\Program Files\WindowsPowerShell\Modules\AzStackHci.EnvironmentChecker\AzStackHciHardware\AzStackHciHardware.psm1」で実施されています。
ファイルを確認するとわかるのですが、2024/11/26 時点では「小規模ハードウェアクラスかつ CI 環境向けに ECC チェックを通過させる」という意図なのかと思われるロジックが組み込まれています。
そこで、「$HardwareClass = "Small"」を明示的に指定し (私の展開方法では、デフォルトは Medium となっていました)、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\SQMClient」に「IsCIEnv (REG_SZ)」を作成することで、Non-ECC のメモリを使用している環境でも展開を完了させることができました。(SQMClient とは何ぞやについては マスター イメージ展開後に複数端末で同じ SQMClient MachineID が使用されてしまう事象について が参考になりました)
個人で手元に置いてある資材で物理環境にインストールして Azure Local を検証するのがだいぶ厳しくなってきましたね…。検証時には Nested での確認を前提に考える必要がそろそろあるのかもしれません。
前述のデモでは HPE ProLiant MicroServer Gen11 が使用されていましたが、業務机の上に物理環境の検証を行うため、これを複数台並べるのはコスト的にもスペース的にも厳しいです。