Windows Server 2025 ではワークグループクラスター(Workgroup Cluster / ドメインに依存しないクラスター) で構築された Hyper-V で ライブマイグレーション (Live Migration) が実行できるようになります。
この新機能についての公式の情報としては以下の内容になるのではないでしょうか。
- The Future of Windows Server Hyper-V is Bright!
- Ignite 2023 の発表内容
- Windows Server Summit 2024 の発表内容
Windows Server Summit 2024 の開催のタイミングで Announcing Windows Server Preview Build 26085 として新しいビルドが提供されました。
このビルドであればワークグループクラスターのライブマイグレーションが実行できるようになっていましたので、関連する情報を一度まとめておきたいと思います。
Contents
ワークグループクラスターについて
ワークグループクラスター自体は、Windows Server 2016 で実装された機能となり フェールオーバー クラスタリング に、Windows Server 2016 の新機能として記載されています。
Windows Server 2016には、フェールオーバークラスタリング機能を使用して、複数のサーバーを1つのフォールトトレラントクラスタにグループ化するための多くの新機能と機能強化が含まれています。 追加機能のいくつかを以下に紹介します。詳細については、「What’s New in Failover Clustering in Windows Server 2016 (Windows Server 2016 のフェールオーバー クラスタリングの新機能)」を参照してください。
設定の方法としては上記の記載のリンク先である Workgroup and Multi-domain clusters in Windows Server 2016 または、SQL Server の情報となりますが、ワークグループ可用性グループを構成する に記載されています。(OS 観点の learn のドキュメントとして、ワークグループクラスターの構築手順を見たことが無く)
Windows Server 2025 でも同様の手順で構築することができましたので、検証の際にはこれらの情報を参照しておけば良いかと思います。
ワークグループクラスターの機能制限
ワークグループクラスターはドメインに依存したクラスターと比較して機能の制限があります。
最新の情報がどうなっているかを調べてみたところ、About windowsServer2022 with workgroup cluster for which there is no Active Director で、前述の Workgroup and Multi-domain clusters in Windows Server 2016 が紹介されていたので、2022 の制限事項についても 2016 時点と変わっていないようです。
私が関連しそうな機能としては SQL Server と Hyper-V になりそうですが、SQL Server については FCI はサポートされておらず、Hyper-V についてはライブマイグレーションがサポートされていないということが明記されています。
現時点では、SQL Server の FCI はワークグループクラスターでもサポートされていませんが、Hyper-V のライブマイグレーションについては、Windows Server 2025 でもサポートされることになります。(以下の画像は Windows Server Summit 2024 のセッション内のスライドです)
Windows Server 2025 を使用した検証
投稿を書いている時点では、What’s new in Windows Server Insiders Preview に記載されていないのですが、冒頭に記載した Build 26085 であれば、ワークグループクラスターを使用したライブマイグレーションを検証することができます。
動作のデモについては Demo bytes: Failover clustering | Installing packages with WinGet で紹介されており、実際の動作についてはこのセッションの内容から確認することができます。
ライブレーションの有効化については Hyper-V マネージャーから Hyper-V ホストのプロパティを開くと設定することができます。
現状の Hyper-V マネージャーの GUI からライブマイグレーションの設定を行うと、ドメイン環境でないと設定することができないというエラーがでますが、「Enable-VMMigration」を PowerShell を実行することで有効化できます。
Enable-VMMigration を実行して有効化すると「VirtualMachineMigrationAuthenticationType」が「4」に設定されているようです。(従来までは 0: CredSSP / 1:Kerberos となっていたかと)
Enable-VMMigration を実行することで、ワークグループクラスターで構築されている Hyper-V クラスターでもライブマイグレーションを実行することができます。
シンプルな構成でライブマイグレーションが実行できるようになったのはうれしいですね。
Windows Server 2025 の Hyper-V の機能強のポイント
Windows Server 2025 では、ワークグループクラスターのライブマイグレーション以外にも以下のような機能追加が計画されています。
これらの機能追加ですが、Azure Stack HCI と Windows Server の Hyper-V の機能差の吸収のような意味合いもあるのではと感じています。
Azure Stack HCI と Windows Server の機能の違いについては、技術的な機能を比較する に記載されています。
Windows Server 2022 の Hyper-V では「いいえ」となっている機能については、Windows Server 2025 では実装されているものが多いのではないでしょうか。
