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Ignite 2021 で SQL Server 2022 がアナウンスされました

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Ignite 2021 で、SQL Server v.Next となる、SQL Server 2022 がアナウンスされました。

Ignite 2021 Book of News では次のように紹介されています。

SQL Server 2022 is the most cloud-connected release of the product yet, integrating with Synapse Link and Azure Purview to enable customers to drive deeper insights, predictions and governance from their data at scale. Cloud integration is easier than ever before with high availability and disaster recovery (HA/DR) live migration without downtime, along with no-ETL (extract, transform and load) connections to cloud analytics, which allow database administrators to manage their data estates with greater flexibility and minimal impact to the user. Performance and scalability are automatically enhanced via built-in intelligence. There is choice and flexibility across languages and platforms, including Linux, Windows and Kubernetes.

Learn more about this update.

Ignite でのアナウンスに伴い、SQL Server 2022 について、次の記事 / 動画が公開されています。SQL Server 2022 の製品ページも公開されており、データシートが提供されています。

記事

動画 (Youtube)

製品ページ / データシート

EAP の登録

現時点では、EAP (Early Adoption Program) に登録する必要のある Private Preview での公開となっているため、入手できる情報は限定されていますが、動画でどのような機能が追加されるのかは解説が行われています。

EAP の登録については こちら から実施することができます。

現時点では、Public Preview ではないため、ドキュメントは公開されていませんので、SQL Server 2022 の特徴については、What’s new in SQL Server 2022 / Download the SQL Server 2022 datasheet から確認を行うとよいのではないでしょうか。

Ignite 2021 のセッション

Ignite 2021 でも SQL Server 2022 に関連するセッションが開催されていますので、これらのセッションも合わせて確認するとよいかと思います。

 

SQL Server 2022 の特徴

製品ページ / データシートでは、SQL Server 2022 については次のような特徴が挙げられています。

  • Business continuity through Azure
  • Seamless analytics over on-prem operational data
  • Visibility over your entire data estate
  • Most secure over the last 10 years
  • Industry-leading performance and availability

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特徴の一つとして挙げられているのが「Azure enabled capabilities」となり、Azure と統合 / 連携することができる様々な機能追加が行われているようです。

 

Business continuity through Azure

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Ensure uptime with fully-managed disaster recovery in the cloud through the link feature in Azure SQL Managed Instance. Continuously replicate data to and from the cloud.

 

Link feature for Azure SQL Managed Instance

この機能については、SQL Server 2022 単体ではなく、Azure SQL Managed Instance (MI) との連携となり、SQL Server と MI を組み合わせることで、ビジネス継続性を向上させることができるようになるようです。

これについては、Managed Instance link として、MI の機能更新でのアナウンスも行われており、機能のドキュメントも公開されています。

従来までは、SQL Server と Azure の DR というと、Azure VM に SQL Server をインストールして、Always On 可用性グループ (AG) を組むというものがあったのではないでしょうか。

これが、MI の 新機能 (Limited Preview) である、リンク機能を使用することで、SQL Server と MI 間で AG の機能の一つである分散型可用性グループ (DAG) の技術を使用することで、データの連携を行うことができるようになり、SQL Server と PaaS 間で DR 環境を構築することができるようになるようです。

DR 専用ではなく、MI を読み取り専用サーバーとして使用することもでき、MI のリソースを有効に活用することができます。
最大で 100 個のデータベースリンクを設定できるようですので、複数のデータベースを DAG の技術を使用して、MI に同期することができるようになります。

このリンク機能については、現時点では、SQL Server 2019 CU13 / SQL Server 2022 が対象となっていますが、長期的な計画としては、SQL Server 2016 以上でのサポートを計画しているようです。

 

MI で取得したバックアップを SQL Server 2022 にリストア

MI で取得したバックアップを SQL Server 2022 にリストアすることもサポートされるようになり、MI で取得したバックアップの活用方法についても新しいシナリオを描くことができるようになります。
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Seamless analytics over on-prem operational data

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Drive insights in near real-time by breaking the wall between operational and analytical stores, enabling you to analyze all your data using both Spark and SQL runtimes in the cloud with Azure Synapse Link.

 

Synapse Link for SQL Server

Synapse Link の新しい機能として、Azure Synapse Link for SQL Server 2022 が追加されるようです。

この機能により、ETL のパイプラインを設定することなく、Synapse Analytics にリアルタイムに近い、データの連携を行うことができるようですね。

従来までは、トランザクションデータと分析用データの両立を SQL Server で実現する場合、行ストア (In-Memory OLTP) と、列ストアインデックスを併用した、Operational Analytics や HTAP のような、運用データと分析用データを一つのデータベースで実現するようなアプローチがありました。

Synapse Link for SQL Serverを使用することで、運用データと分析用データの分割を Azure のサービスを活用して、データストアを明示的に分割して、実現することができるようになるのではないでしょうか。

個人的に気になっているのは、「automatic change feeds that capture the changes」の一文で、SQL Server 側の変更をどのようにキャプチャするのかが興味深いですね。

OLTP ワークロードへの影響を抑えた形でニアリアルタイムの速度で SQL Server から Synapse Analtycis にデータの連携をETL を作成することなく連携し、SQL Pool / Spark Pool で連携できるようになるようです。

現時点では動画内で設定画面が公開されていますが、Synapse Studio から、同期対象となるテーブルを選択することで、Synapse の Dedicated SQL Pool のテーブルに自動的にデータを流すことができるようになるようです。
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Visibility over your entire data estate

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Manage and govern your entire data estate to overcome data siloes through SQL Server integration with Azure Purview.

 

Azure Pruview 統合

Azure Purview との統合が進み、SQL Server への特定のアクセス権の設定と制御機能が向上するようです。

機能向上としては次のような内容が挙げられています。

  • Automatically scan on prem SQL Server to capture metadata
  • Classify data using built in and custom classifiers and Microsoft Information Protection sensitivity labels
  • Set up and control specific access rights to SQL Server

Purview がスキャンを行いデータ資産を可視化するだけでなく、SQL Server 側の設定にも影響を与えることができるのでしょうか?

 

Most secure over the last 10 years

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Achieve your security and compliance goals using the database rated as least vulnerable over the last ten years. Use an immutable ledger to protect data from tampering.

 

データベース台帳

SQL Database でプレビューとして提供されている データベース台帳 が SQL Server でも使用することができるようになるようです。

データベース台帳によって、データの改ざんを防止する、不変的なデータを格納することができるテーブルを作成することができます。

個人的には、SQL Server ベースの環境でデータベース台帳が使用できると、PASS で実施されていたデータ改ざんの具体的なデモができるようになってうれしいです。

 

Industry-leading performance and availability

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Take advantage of performance and availability improvements for faster queries and to ensure business continuity. Accelerate query performance and tuning with no code changes required. Keep multi-write environments running smoothly when you have users across multiple locations.

このカテゴリについては、発表された内容が多かったのではないでしょうか。

 

パフォーマンス

パフォーマンスの向上については、Announcing SQL Server 2022 preview: Azure-enabled with continued performance and security innovation でも解説が行われています。

  • For Query Store, we are adding support for read replicas and enabling query hints to improve performance and quickly mitigate issues without having to change the source T-SQL.

 

クエリストアの機能強化

クエリストアの機能強化が行われており、次のような機能の追加が行われるとのことです。

  • クエリストアがデフォルトで有効化
  • リードレプリカのサポートの追加
  • クエリストアヒント

SQL Server 2019 までは、クエリストアはデフォルトで無効化されており、使用するためには明示的に有効化を行う必要がありました。そのため、データベースによってはクエリストアが使用できないという状況が発生していました。SQL Server 2022 では PaaS の Azure SQL と同様にデフォルトで有効化される事になったようです。

リードレプカのサポートについては、AlwaysOn 可用性グループのリードレプリカになるかと思います。従来まではリードレプリカのクエリストアは、プライマリの情報が複製されており、リードレプリカに対して実行されているクエリ情報は取得できなかったのですが、この制限が緩和されるようです。

クエリストアヒント については、PaaS でプレビュー機能としてすでに実装が行われていますが、インストールタイプの SQL Server でも 2022 から使用できるようになるようです。

For Intelligent Query Processing, we’re expanding more scenarios based on common customer problems. For example, the “parameter sensitive plan” problem refers to a scenario where a single cached plan for a parameterized query is not optimal for all possible incoming parameter values. With SQL Server 2022’s Parameter Sensitive Plan optimization feature, we automatically enable the generation of multiple active cached plans for a single parameterized statement. These cached execution plans will accommodate different data sizes based on the provided runtime parameter values.

 

インテリジェントクエリ処理の機能強化

SQL Server は 2017 以降、アダプティブクエリ処理 (AQP) / インテリジェントクエリ処理 (IQP) というようなクエリ実行効率の動的な最適化の機能が搭載されています。

SQL Server 2022 でもこの機能が進化して、「Parameter Sensitive Plan」(PSP) に対してのアプローチが行われているようです。

これは、パラメータースニッフィングに対しての一つのアプローチとなるようで、あるパラメーターが大多数のクエリにとって最適ではない場合、そのようなパラメーターでクエリがコンパイルされたとしても、大多数には非効率な実行プランを継続して使用するのではなく、複数なアクティブなキャッシュプランを自動的に生成することで、クエリ実行効率の低下を防ぐことができるようです。

IQP の新機能としては、次の 3 種類の機能の追加が予定されており、クエリストアと連動した、動的な実行効率の改善のアプローチが増えるようですね。

  • Palameter Sensitive Plan (PSP) Optmization
  • Cardinality Estimation (CE) feedback
  • Max Degree of Parallelism (DOP) feedback

 

可用性 (ピアツーピアレプリケーションの LWW)

可用性の向上については、ピアツーピアレプリケーション (P2P) の複数書き込みによるデータ競合が発生した場合に、last-writer wins (最後の書き込みを優先させる) ルールを適用することができるようになるようです。

これについては、SQL Server 2019 CU13 で搭載された、ピア ツー ピア – ピア ツー ピア レプリケーションにおける競合検出 の機能に近いものではないでしょうか。

現時点でアナウンスされている範囲では、SQL Server 2019 の情報が参考になりそうです。

 

Introduction to SQL Server 2022

Data Exposed では、次のスライドが紹介されていました。

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Data lave virtualizatioon and object storage として、S3 の API との連携が紹介されていました。

 

Polybase vNext

Polybase vNext について、Data Exposed で発表がありました。

現在の Polybase は、HDFS / ODBC 経由で外部データへのアクセスが可能です。

vNext となる、Polybase では、S3 / ADL Gen2 / BLOB Storage ストレージに対して、REST API 経由で、OPENROWSET / EXTERNAL TABLE 経由でのアクセスができるようになるとのことです。

S3 については、S3 互換のストレージで同様の REST API が提供されていれば、Polybase vNext でアクセスできるのかもしれませんね。

 

Backup/Restore SQL to S3 Compatible Storage

現在の SQL Server は、URL への SQL Server のバックアップ で、BLOB に対してデータベースバックアップを取得することができますが、2022 では、S3 互換のストレージに対してのバックアップ / リストアの機能が追加されるようです。

 

T-SQL の拡張

T-SQL の拡張として、JSON データの操作 / T-SQL の機能強化 / Azure SQL Edge で利用できる時系列データについての機能強化が行われるようです。

具体的な機能については、まだ発表がされていませんが、基本機能の拡張が計画されているようです。

 

まとめ

Ignite 2021 で SQL Server 2022 のアナウンスが行われ、次期バージョンの SQL Server では、どのような機能の追加が行われるのかの情報の公開が始まりました。

現在は、Private Preview であるため、EAP に申し込み を行う必要があります。

At this point in time, we are onboarding a limited number of customers and partners to our SQL Server 2022 preview, in advance of public preview and general availability in the coming year.

と、アナウンスされており、Public Preview は来年となるようですので、情報の公開が加速するのは来年になりそうですね。

SQL Server 2022 の詳細については、次の場所で公開されるというアナウンスが行われています。

11/8 に開催される PASS Summit の後継である、PASS Data Community Summit でも情報の公開が予定されているとのことですので、Ignite 終了後も情報が公開される場はあるようです。

PASS Data Community Summit では、つぎのようなセッションが予定されているようです。

Private Preview 中は、公開される情報は限定的になると思いますが、今後に備えて、日ごろから情報をキャッチアップしていきたいですね。

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Written by Masayuki.Ozawa

11月 3rd, 2021 at 12:18 am

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