AlwaysOn 可用性グループでは複数ノードで構築したフェールオーバークラスターインスタンス (Failover Cluster Instance : FCI) と単一サーバーで構築したスタンドアロンインスタンスを組み合わせて構築することが可能です。
この環境を構築する場合、スタンドアロンインスタンスの構築方法に注意点がありますので、その内容についてまとめてみたいと思います。
Contents
■構成時の注意点
フェールオーバークラスターインスタンスを構築する際には注意点はあまりないのですが、スタンドアロン インスタンスを構築する場合には注意点があります。
注意点ですが [スタンドアロンインスタンスをどのタイミングでインストールするか] ということがポイントとなってきます。
ここでいうタイミングですが、
- フェールオーバークラスターに参加する前にスタンドアロンインスタンスをインストール
- フェールオーバークラスターに参加した後にスタンドアロンインスタンスをインストール
を指しています。
■フェールオーバークラスターに参加する前にスタンドアロンインスタンスをインストール
この場合は特に注意点はありません。
クラスターに参加する前にインストールしているのでこの後にあげるインストールルールは適用されません。
■フェールオーバークラスターに参加した後にスタンドアロンインスタンスをインストール
この環境でインストールをする場合は注意が必要となります。
注意点としては、
- スタンドアロンインスタンスで使用するドライブ文字
- スタンドアロンインスタンスで使用するインスタンス名
の 2 点となります。
WSFC 参加後にスタンドアロン インスタンスをインストールする場合は上記の 2 点に気を付ける必要があります。
それでは、それぞれどのような内容に気を付ければいいかを見ていきたいと思います。
今回は以下の環境が FCI として構築されているものとします。
インスタンス名 | 使用している共有ディスクのドライブ文字 |
既定のインスタンス (MSSQLSERVER) | E ドライブ |
スタンドアロンインスタンスで使用するドライブ文字
スタンドアロンインスタンスで使用できるドライブ文字ですが、FCI の共有ディスクとして使用しているドライブは使用することができません。
現在 FCI のインスタンスでは E ドライブを使用しています。
FCI には参加しておらず、WSFC に参加しているノードでスタンドアロンインスタンスをインストールする場合、FCI で使用しているドライブ文字は使用するすることができません。
# そのドライブ文字が共有ディスクとして認識しているため上記のエラーが発生します。
WSFC の参加後にスタンドアロンインスタンスをインストールする場合、共有ディスクで使用しているドライブ文字以外を使用する必要があります。
今回の場合は E ドライブ以外を使用することで上記のエラーが発生しなくなります。
スタンドアロンインスタンスで使用するインスタンス名
FCI で使用しているインスタンスと同一のインスタンス名を WSFC に参加しているスタンドアロンインスタンスで使用すると以下のエラーになります。
今回は FCI で既定のインスタンス使用している状態です。
この状態で、スタンドアロンインスタンスで既定のインスタンスを使用してインストールをしようとするとエラーとなります。
WSFC に参加しているノードで SQL Server をインストールする場合、[StandaloneInstall_HasClusteredOrPreparedInstanceCheck] というルールが適用されます。
インストール ルール
このルールでは以下の確認が行われています。
クラスター ノードにある既存のクラスター化準備済みインスタンスまたはクラスター化済みインスタンスによって、選択したインスタンス名が既に使用されているかどうかを確認します。 |
このルールが適用されていることで WSFC ノード内で構築されている FCI と同一のインスタンス名を使用することができなくなっています。
なお、SQL Server では setup.exe で /SkipRules で特定のルールをスキップすることができますので、ルールのスキップを使用することで WSFC のノードとして参加をしていてもこのルールを適用から除外することができます。
簡単にまとめると以下のようになると思います。
WSFC 参加前にインストール | WSFC 参加後にインストール |
FCI と同一のインスタンス名を利用可能 FCI と同一のドライブ文字を利用可能 |
FCI と異なるインスタンス名を利用 FCI と異なるドライブ文字を利用 |
スタンドアロンインスタンスをどのタイミングでインストールするかによって、使用できるインスタンス名とドライブ文字が変わってきます。
通常は WSFC に参加した後に SQL Server をインストーすることが多いと思いますが、AlwaysOn に後から参加させる場合は WSFC に参加させる前に SQL Server をインストーすることもあるかと思います。
そのような場合は、WSFC 参加後のインストールとは異なる構成が取ることができます。
同一のインスタンス名や同一のドライブ文字を使用しなくても構成的には問題はないと思いますが、インストールの注意点として知っておいた方が良いかもしれないですね。