前回は SQL Server 2025 のパフォーマンス向上のための新機能 でパフォーマンス向上の新機能に触れました。
今回は可用性向上のための新機能についてまとめてみたいと思います。
今回も SQL Server 2025 の Deck を元に記載しています。
公式のドキュメントとしては 可用性 / データベース エンジン になります。
可用性の機能については Azure SQL Database でも同様の機能が追加される (or 既に追加されている) 可能性がありますので SQL Server 2025 の可用性機能の把握は PaaS を利用する際にも有益な情報となります。
SQL Server 2025 の可用性向上のための新機能
前回に引き続き、SQL Server 2025 のスライドから確認すると、可用性の機能としては次のような機能が記載されています。
可用性グループ
- 永続的なシステムの健全性の問題に対する迅速なフェールオーバー
- RestartThresholdで制御されている内容となり、既定では「1」が設定されており、現在のノードでリソースの再起動を一度試行する。
- 2025 から 0 に設定できるようになり、正常性の問題が発生した場合、現在のノードでのリソースの再起動を試行することなく、フェールオーバーを実施することで、迅速な復旧が必要となるシナリオに対応できる。
- 非同期ページ要求ディスパッチの改善
- 非同期レプリカへの DR フェールオーバーを実行し、セカンダリをプライマリに昇格する際の同期メカニズムを更新し、ページ要求を非同期かつバッチ処理で実行されるようになった。
- デフォルトで有効となっており、TF12348 をセカンダリで有効にすることで、2022 までの動作に切り替えることができる。
- 正常性チェックのタイムアウト診断の改善
- 正常性チェックタイムアウトの検出時にリソースタイムアウト診断の出力と同様に、クラスターログにパフォーマンスモニターカウンターが出力されるようになった。
- 通信フローの制御
- SQL Server 2022 では、レジストリを変更することで、ユニバーサル通信サービス (UCS) Box Cars 数を制御していた。
- SQL Server 2025 では、sp_configure で変更できるようになり、サーバー管理者の権限は不要でデータベース管理者の権限で設定を変更できるようになった。
- データベースの障害発生後に解決の状態への切り替え
- SQL Server 2022 までは、一時的なネットワーク障害の発生で一時的なクォーラム損失により、可用性グループが短時間オフラインになり、オンラインへの復旧後に同期されていない状態のままとなることがあった。
- SQL Server 2025 では、可用性グループの回復ロジックの更新により、一時的なクォーラムの損失に対しての許容値が強化され、オンラインに復旧された後に同期されていない状態で停止しているのを防ぐことができるようになった。
- リスナーの IP アドレスの削除
- リスナーを削除することなく、リスナーの IP アドレスを削除することができるようになった。
- 読み取り専用 / 読み取り書き込みルーティングに NONE の設定
- READ_ONLY_ROUTING_URL / READ_WRITE_ROUTING_URL に NONE を設定することができるようになり、既定の動作に基づいたルーティングを指定できるようになった。
- コミット待機の構成の変更 (ミリ秒単位)
- 可用性グループのパフォーマンス向上のためのログブロックを複数のコミットで埋めてからセカンダリに送信しようとするために 10 ミリ秒の遅延が適用されていた。
- SQL Server 2025 では、この遅延を 1 ~ 10 ミリ秒に変更できるようになった。
- 包含可用性グループの DAG (分散型可用性グループ) のサポート
- 包含可用性グループ間で分散型可用性グループを構成することができるようになった。
- master / msdb 内のオブジェクト複製可能な可用性グループの構成で DAG を構成できるようになった。
- DAG (分散型可用性グループ) の機能強化
- 非同期コミットモードを使用した分散型可用性グループの内部同期メカニズムの変更によりパフォーマンスを向上
- セカンダリレプリカを使用した完全バックアップ / 差分バックアップのサポート
- セカンダリレプリカで、コピーバックアップとトランザクションログバックアップ以外のバックアップをサポート
- TF3261: セカンダリレプリカで差分バックアップを有効
- TF3262: セカンダリレプリカで完全バックアップを有効
バックアップ
- ZSTD バックアップ圧縮アルゴリズム
- ZSTD compression in SQL Server 2025
- SQL Server 2025 のバックアップ圧縮の新機能 で投稿しましたが、バックアップの圧縮アルゴリズムとして ZSTD がサポートされるようになりました。
- Azure ストレージへのバックアップ時に不変ストレージをサポート
- Immutability: A Powerful Shield Against Ransomware in SQL Environments
- SQL Server 2025 から BACKUP TO URL で不変ストレージ対してバックアップが可能となり、ランサムウェア等の攻撃によりバックアップファイルが書き換えられることを防ぐことができるようになりました。