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SQL Server / SQL Database Update (2025/04/24~2025/07/01)

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前回の Update: SQL Server / SQL Database Update (2024/10/11~2025/04/23)

前回から今回までの期間で SQL Server 2025 の Preview の提供が開始され、SQL Server 2025 関連の情報もアップデートとして挙がっていますが、それは別でまとめていますので、SQL Server 2025 以外のアップデートをまとめています。

 

Azure SQL Database

正規表現のサポート

アナウンス

 

正規表現サポート がSQL Server 2025 / Azure SQL Database / Azure SQL Managed Instance でプレビュー機能として提供されました。正規表現関数 が提供され、SQL Serve ベースのデータベースエンジンで、正規表現利用の柔軟性が向上しています。

REGEXP_LIKE / REGEXP_MATCHES / REGEXP_SPLIT_TO_TABLE については、互換性レベル 170 が必要となっています。

Managed Instance で使用する場合は 常に最新の更新ポリシー で最新の状態にしておく必要があります。(SQL Server 2022 更新ポリシーではなくなるため、SQL Server 2022 とバックアップを共有する必要がある場合は、最新のポリシーの利用はできません)

 

Vector データ

アナウンス

 

Azure SQL Database / Azure SQL Managed Instance で ベクトル データ型 / ベクター関数 といった、ネイティブベクターサポートの一般提供が開始されました。

Azure SQL Managed Instance で利用する場合は 常に最新の更新ポリシー の有効化が必要となります。

ベクターインデックス については、投稿時点では SQL Server 2025 でのみサポートされており、Azure SQL 系の環境では使用することはできません。

 

JSON サポート

アナウンス

 

Azure SQL Database / Azure SQL Managed Instance で JSON データ型 / 追加の JSON 関数 (JSON_OBJECTAGG / JSON_ARRAYAGG) といったネイティブ JSON サポートの一般提供が開始されました。

Azure SQL Managed Instance で利用する場合は 常に最新の更新ポリシー の有効化が必要となります。

 

データ仮想化

アナウンス

 

Azure SQL Database で、データ仮想化 をプレビュー機能として使用することができるようになりました。

Azure Blob Storage / ADL Gen2  に格納されているフラットファイル / Parquet / Delta に対して、OPENROWSET / CREATE EXTERNAL TABLE を使用してアクセスを行うことができます。

単純にこれらのデータストアにアクセスするのであれば、Synapse の Serverless SQL Pool が効率的だと思いますが、DB 内のデータと組み合わせて、Azure 上のストレージのデータストア上のデータを活用したいというニーズがある場合にはこの機能が活用できるのではないでしょうか。

Synapse のように自動的にスケールする構成ではありませんので大容量のファイルにアクセスする必要がある場合は、通常のワークロードに影響を与える可能性があるかもしれないことは気を付けなくてはいけないかと思います。

 

TLS 1.0 / 1.1 の廃止

アナウンス

 

Azure SQL Database / Azure SQL Managed Instance で TLS 1.0 と TLS 1.1 の廃止が 2025/08/31 に実施されるアナウンスがありました。

この廃止は、当初は 2024/08 に予定されていたのですが、ユーザーのアップグレードの完了を考慮して延期されていましたが、今回廃止の最終的な期間がアナウンスされました。

2025/08/31 以降、TLS 1.0 / 1.1 による接続は失敗するようになるため、TLS 1.2 へのアップグレードが必要となります。

アナウンスには、どのバージョンの TLS が使用されているかを確認する方法が記載されていますので、どの TLS のバージョンが使用されているか不明な場合は、TLS の最小バージョンの設定と合わせ、ログの取得を検討する必要があります。

 

Hyeprscale の性能向上

アナウンス

 

Hyperscale のトランザクションログの生成速度の向上 (150MiB/sec) と、セカンダリの継続的 (連続的) プライミング (プライマリのホットページがセカンダリのバッファプール / RBPEX の両方に継続的にアクティブとなるようにすることで、フェールオーバー直後の性能劣化を抑える) の機能の一般提供が開始されました。

トランザクションログの生成速度の向上は、Hyperscale Premium シリーズ で行われており、Gen5 / DC シリーズでは適用されていません。(Azure Synapse Analytics と Azure SQL Database Hyperscale は、どのようにして選択すればよいですか? / Hyperscale でのトランザクション ログのサイズはどれくらいですか? にも情報が記載されています)

 

継続的プライミングついては、サーバーレスでは対応しておらず、プロビジョニングコンピューティングでサポートがされています。

継続的プライミングには、連続プライミング / 継続的プライミングは顧客にどのように利益をもたらしますか? でどのような動作を行う機能なのかを確認することができます。

 

Hyperscale Elastic Pool の Auto Scaler の紹介

アナウンス

 

Microsoft から提供されているものではありませんが、TrackAbout が公開している Hyperscale の Elastic Pool の Auto Scaler の実装である Azure SQL Hyperscale Elastic Pool AutoScaler が紹介されています。

Hyperscale はデータサイズに依存せず一定の時間でスケールすることができますので、Auto Scaler の実装は興味深いですね。

 

 

Azure SQL Managed Instance

Managed Instance の管理性の向上

アナウンス

Managed Instance の作成と更新の処理時間が向上しました。

  • 仮想クラスターの作成: 4 時間 -> 30 分以内
  • 仮想クラスターの拡張: 4 時間 -> 60 分以内

というように、操作時間が大きく短縮されています。(ゾーン冗長インスタンスの場合は従来通りのようです)

以前は Azure SQL Managed Instance での管理操作の概要 に処理時間が記載されていましたが、今回のアナウンスに合わせ、Azure SQL Managed Instance での管理操作の期間 というドキュメントに処理時間がまとめられたようです。

 

Free Offer

アナウンス

 

Managed Instance には Free Offer という小規模サイズのインスタンスを、サブスクリプション内で 1 回のみ、12 か月間無償で使用するための方法が提供されています。この機能の一般提供が開始されました。

 

ハードウェア構成の柔軟性の向上

アナウンス

 

次のような対応の一般提供の開始が行われました。

  • General Purpose のゾーン冗長
  • 管理操作の高速化 (管理性の向上で触れた内容)
  • Business Critical のログスループットの向上
  • Business Critical のゾーン冗長の Reserve 対応

Flexible Memory が Public Preview として提供され、メモリサイズの選択の柔軟性が向上しています。
従来はコア数に応じてメモリサイズが変わりましたが、Premium ハードウェアの次世代の General Purpose のローカル冗長インスタンスでコア数に応じて最小 / 最大メモ / 比率が設定され、その範囲の中でメモリサイズが設定できるようになりました。

 

SQL Server

SQL Server on Linux のデプロイパス

アナウンス

 

SQL Server を Linux 上で動作させる場合、いくつかの実行形態をとることができますが、どのようなケースでどのデプロイ方法を使用したほうが良いかを示すフローチャートが公開されました。

 

ランサムウェア攻撃に対しての不変性

アナウンス

 

SQL Server でどのようにランサムウェアからの攻撃の備えればよいかについて、バックアップを Azure ストレージに取得し、Azure 不変ストレージによりバックアップへの変更を許可しないことで、特定時点のデータの普遍性を確保するという方法が紹介されています。

SQL Server 自体には不変バックアップの機能が提供されていないので、Azure ストレージの不変ストレージの機能をバックアップと組み合わせるのは面白い考え方ですね。

ストレージでランサムウェア対策で、不変ストレージの機能が提供されているケースもあるかと思いますが、専用のストレージを使用することなく、バックアップを不変化するアプローチは使えるケースがいくつかありそうです。

 

ツール

DacFx

アナウンス

 

SqlPackage で次のような機能強化が行われています。

 

 

データベース接続

アナウンス

 

DB 接続のドライバー / ライブラリの更新が行われていますが、大きな内容としては mssql-python の Public Previewではないでしょうか。

Python SQL ドライバー の情報も更新されていますが、Microsoft から Python 用の SQL ドライバーが提供されるようになりました。

 

VS Code Extension

スキーマサポートの強化

アナウンス

 

Azure Data Studio が 2026/02/28 に廃止され、今後は VS Code の MSSQL Extension に機能の強化が行われていくことになりますが、スキーマ操作系の機能の追加が行われました。

 

GitHub Copilot と MSSQL Extension の統合

アナウンス

 

GitHub Copilot と MSSQL Extension が統合 され、「@mssql」をチャット参加者として指定することで、SQL Server ベースの環境に対して、Copilot 経由で質問が可能となります。

SSMS にも Copilot が搭載されていますが、あちらは Azure Open AI を使用し、MSSQL Extension は GitHub Copilot のモデルが使用され、マルチプラットフォームに対応しています。

GenAI の柔軟性は、SSMS より MSSQL Extension のほうが柔軟性は高いかもしれません。

 

MSSQL Extension の機能強化

アナウンス

 

MSSQL Extension に、ローカル SQL Server コンテナーの起動と、GitHub Copilot エージェントモード、接続情報のグループ化の機能が追加されました。

 

MCP Server

アナウンス

SQL Server ベースの環境をサポートする MCP Server が紹介されています。

  • tsqlanalyze
  • MssqlMcp (Node と dotnet 版の 2 種類を提供)

T-SQL のルールチェックと、SQL Server ベースの環境の操作を MCP Server 経由で実行することができます。

 

SSMS

アナウンス

 

最新の SSMS である SSMS 21 のリリースと、アップデートが実施しされています。

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Written by Masayuki.Ozawa

7月 2nd, 2025 at 11:32 pm

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