冗長化構成の最後としてセルフサービスポータルの冗長化を。
セルフサービスポータルは Web サーバーですので NLB で冗長化が可能です。
■使用した環境
今回使用する環境は前回の環境のフロントとして、NLB 構成のセルフサービスポータルを追加します。
私の検証環境は TMG 2010 が構築してあるので、NLB 構成とは別にサーバーファーム構成でセルフサービスポータルを
冗長構成する構成も作ってみたいと思います。
TMG 2010 の環境は HTTPS のリスナが設定されているので、HTTPS で受けて内部的には HTTP で通信する構成にしています。
■セルフサービスポータルのインストール
セルフサービスポータルのインストールでは冗長構成の設定はありません。
セルフサービスポータルと SCVMM サーバーを分割してインストールする時と同じ方法で構築します。
[Virtual Machine Manager サーバー] に VMM サーバーの役割をインストールしているサーバーを指定します。
TMG 2010 のサーバーファームを使う際にホストヘッダーが必要になるので、適当なヘッダー名を指定しています。
VMM サーバーのファイアウォールに関しては VMM サーバーインストール時に 8100 に対してアクセス許可を自動的に
設定しているようなので、明示的に設定をする必要はないようです。
■NLB の設定
NLB の設定も通常の Web サーバーの NLB 設定と同じです。
NLB は DHCP による IP 割り当てでは設定ができませんので適当な固定 IP を割り当ててから作業をします。
[ネットワーク負荷分散] の機能をセルフサービスポータルの各サーバーに追加します。
今回は Hyper-V 上に構築しているので [MAC アドレスのスプーフィングを有効にする] も忘れずに。
IP は塗りつぶしていますが、できた環境がこちらです。
03 / 04 の 2 台構成で NLB を設定しています。
インストール時に指定したホストヘッダーでアクセスし、正常にセルフサービスポータルが表示されています。
HTTP 経由のアクセスなので、警告文が表示されていますね。
通常の NLB 設定と同じなので特有の設定はありませんでした。
■冗長構成のテスト
片側の NLB を停止させながら冗長構成のテストをします。
両方が停止している状態はエラーとなりますが、片側が生きていれば正常にアクセスができる状態となっています。
■TMG 2010 で冗長化
TMG 2010 ではサーバーファームという機能があります。(ISA 2006 でもあります。)
# Web サーバー側で冗長構成を設定しなくても TMG 側で冗長構成を設定できる機能です。
サーバーファームとして冗長構成をしたいサーバーの IP または コンピュータ名を指定します。
サーバーファームには [接続検証] とい機能があり、NLB とは異なり死活監視で HTTP アクセスが可能かを調べることができます。
NLB の冗長化では、サーバーが生きていて IIS が死んでいる場合でも負荷分散対象となり、要求が振られたはずですが、
サーバーファームでは HTTP アクセスができない (IIS が死んでいる) 場合は負荷分散対象外とすることができます。
後はこのサーバーファームを使用する [Web 公開ルール] を作成すると TMG 経由で公開することができます。
TMG のルールでは [内部サイト名] を入力する必要があります。
各 セルフサービスポータルには内部サイト名でアクセスがされますので、インストール時に指定したホスト ヘッダーの値を設定します。
設定を進めると使用するサーバーファームを選択する画面になります。
ここで先ほど作成したサーバーファームを選択します。
あとはウィザードを進めてルールの作成を完了させます。
TMG 2010 はインターネット経由でアクセスできる環境にしてあるので、外部からアクセスしてみます。
外部からは HTTPS でアクセスしているのですが、セルフサービスポータルでは HTTP で受けているので、
NLB のテストの時と同様警告が表示されています。
セルフサービスポータルを HTTPS で構成しないと警告を消せないみたいですね。
あとはインターネット経由の場合はセルフサービスポータルでコンソールが開けませんでした。
接続する際にホスト OS を DNS で解決できる必要があるようで、エラーとなってしまいました。
セルフサービスポータルはイントラネット向けなのでしょうか…。
この辺は要調査です。
VMM サーバー / データベースサーバー / セルフサービスポータルの 3 回に分けて冗長構成を実験してみました。
データベースサーバーとセルフサービスポータルの冗長化は一般的な手法で構成できますが、VMM サーバーの冗長化だけ、
これといった案が導き出せませんでした。
SCVMM を複数台構成にするとなかなか奥が深いものですね。