Build 2023 で発表されていますが、Power BI / Microsoft Fabric のレポート開発において Git 統合 / 開発者モードが提供されます。
アナウンスについては Introducing git integration in Microsoft Fabric for seamless source control の Git integration and Power BI Desktop ‘Developer Mode’ となるのではないでしょうか。
Power BI のレポート作成を行う際に、従来までの Power BI ファイル (pbix) では 1 ファイルで管理されるため (pbix は zip 圧縮されたファイルのため、実際には複数のファイルで構成はされているのですが) 、ファイルをソース管理で管理するには効率が悪い点があったかと思います。
今回から導入される Git 統合 / 開発者モードでは、Power BI のレポートを作成する際に Power BI プロジェクト (pbip) や Power BI レポート (pbir) というようなファイルを使用して、レポートの構成要素に応じた複数のファイルで管理されるようになります。
この機能についてどの情報を確認すればよいかが、公開されている情報が増えてきたので、内容をまとめておきたいと思います。
基本的な動作
Git 統合 / 開発者モードの利用については、Empower every BI professional to do more with Microsoft Fabric の動画から一連の流れを確認することができます。
開発者向け機能として意識をしておく必要があるのが、次の二つの機能になるのではないでしょうか。
- Microsoft Fabric の Git 統合
- Power BI Desktop の開発者モード
どちらの機能も Power BI のレポートに対してソース管理 / 共同編集が意識されたものとなります。
ファイルフォーマット
ファイルフォーマットについては Power BI の次のドキュメントで公開されています。
Power BI Desktop Project というプロジェクト管理 (.pbip ファイル) の仕組みの配下で、Power BI Dekstop project dataset フォルダーと、Power BI Desktop project report folder (.pbir ファイル) が管理されます。
各ファイルの詳細については、上記のドキュメントから確認することができます。
Microsoft Fabric の Git 統合
Microsoft Fabric でMiは Git 統合 の機能があります。
現在は Azure Repos の Git (Azure DevOps Services の Git レポジトリ) に制限されますが、Git をワークスペースを接続することができ、Microsoft Fabric の次のアイテムを Git のソース管理の対象とすることができます。
- レポート (Power BI desktop project report)
- データセット (Power BI desktop project dataset)
Git 統合で接続を行うと Microsoft Fabric に作成したレポート とデータセットを以下のように Git レポジトリで管理をすることができるようになります。
Power BI に関係するアイテムが、複数ファイルで管理されるよう複数人で編集を行う場合などは、変更箇所に応じた最小限のファイルの変更だけで対応することができ、変更箇所の特定がしやすくなります。
複数のワークスペースで同一のリポジトリを使用し、異なるブランチで管理をするということが可能となっており、同一のアイテムをプルリクで管理しながら使用するということもできるようです。
Microsoft Fabric の Git 統合については、Fabric のポータルだけで完結している機能ではありません。
2023/6 以降の Power BI Desktop では、Power BI Dataset Project (.pbip) / Power BI Dataset Report (.pbir) に対応しました。
これにより、Power BI Desktop と Microsoft Fabric ポータルの両方から、ソース管理されたレポートの編集することができるようになります。
Power BI Desktop の開発者モード
Power BI Desktop の開発者モードを使用した pbip / pbir での管理については「バージョン: 2.118.621.0 64-bit (2023年6月)」以降で使用することができるようになり、Power BI Pro の新機能 に記載されている、Explore developer mode for Power BI datasets, reports で追加のアナウンスが行われています。Power BI June 2023 Feature Summary / Deep dive into Power BI Desktop Developer Mode (Preview) でもアナウンスが行われています。
開発者モードについてのドキュメントも公開されました。
2023/6 以降のバージョンであれば、pbir ファイルを Power BI Desktop で開くことができ、プレビュー機能を有効にすることで、ファイルの保存時に「Power BI プロジェクト (pbip)」 の作成 / 保存がサポートされるようになります。
この機能を有効にすることで、Power BI Desktop のレポートを従来の PBIX の単一ファイルではなく、冒頭に記載した次の構成で管理ができるようになります。
既存の PBIX ファイルをプロジェクト管理したい場合には、PBIX を開いた後に、Power BI プロジェクトとして再保存することでプロジェクト形式での管理に変更することができます。
Microsoft Fabric で現在使用できるソース管理システムは現時点では、Azure DevOps のみとなります。
しかし、Power BI Desktop の Power BI プロジェクトについては、ローカルのファイルシステムの利用となりますので、任意のソース管理の配下 (GitHub 等) で Power BI レポートを管理することができるようになります。
今後、Power BI のレポートを GitHub 等のソース管理システムで管理し、複数のユーザーでレポートを共同編集 / バージョン管理したいというような場合には、pbip 形式を採用することがあるのではないでしょうか。