SQL Server 2017 からは、Service Pack が廃止され、新しいサービスモデルによる更新プログラムの提供となりました。
- SQL Serverのサービス モデル
- SQL Server のサポート終了オプション
- KB4041553 – SQL Server Service Packs are discontinued starting from SQL Server 2017
SQL Server 2017 以降は、累積更新プログラム (Cumulative Update: CU) / 一般配布リリース (General distribution release: GDR) による更新プログラムの提供が行われるようになっています。
SQL Server の更新プログラムの提供状況については、SQL Serverの最新の更新プログラムとバージョン履歴 で全体を把握することができるようになっています。
ライフサイクルサポートポリシーは 固定ライフサイクル となっており、5 年間のメインストリームサポートと 5 年間の延長サポートの合計 10 年となっています。(最近は 拡張セキュリティ更新プログラム (ESU) でさらに 3 年間延長できますが)
各バージョンのサポート期限は 製品およびサービスのライフサイクル情報の検索 で確認することができます。
昨年の話になるのですが、SQL Server 2017 のメインストリームサポートが終了し、2017 は現在延長サポートのフェーズとなっています。
今年になり、GDR も提供が行われメインストリームサポート終了後の更新プログラムの提供について、実際の提供ベースで情報がまとまってきましたので、SQL Server 2017 以降のライフサイクルサポートポリシーを改めてまとめておきたいと思います。
メインストリームサポートと延長サポート
SQL Server は 10 年間のサポート期間が提供される製品となりますが、10 年間の期間は 5 年間のメインストリームサポートと 5 年間の延長サポートので構成されます。
メインストリームと延長サポートの違いについては 固定ライフサイクル に記載されており、要約としては次のようになります。
- メインストリームサポート
- インシデント サポート (無償インシデント サポート、有償インシデント サポート、1 時間ごとに課金されるサポート、保証請求のサポート)
- セキュリティ更新プログラムのサポート
- セキュリティ以外の更新プログラムを要求機能
- 延長サポート
- 有償サポート
- セキュリティ更新プログラム (追加料金は不要)
どちらの期間でも有償サポートと、セキュリティ更新プログラムの提供は行われます。
しかし、機能更新については最初の 5 年間のメインストリームサポート期間でのみ提供され、6 年目以降の延長サポート期間では提供されません。
この機能更新については、SQL Server 2022 のリリース時にアナウンスのあった Managed Instance のリンク のような新機能があります。
2023/05/15 時点では、この機能のサポートは次のようになっています。
- SQL Server 2019: CU でサポート
- SQL Server 2017: サポート無し
- SQL Server 2016: 最新のサービスパック + KB5014242 – SQL Server 2016 Service Pack 3 用 Azure connect 機能パック でサポート
となっています。
SQL Server 2019 はメインストリームサポートの期間内なので、CU を適用することで新機能の追加が行われました。
しかし、SQL Server 2016 / 2017 はどちらもメインストリームは終了しており、現在は延長サポートのフェーズとなっています。そのため、新機能を利用可能にするため CU の提供は行われず、それ以外の機能追加プログラムによる新機能の提供となっているのではないでしょうか。
SQL Server 2017 で Managed Instance リンクがどうなるのかはわかりませんが、今後機能の提供が行われるのであれば、2016 と同様に機能追加のプログラムの提供により新機能追加となると思います。(提供しないという結論になるかもしれませんが、どうなるかはわからず)
また、メインストリームサポートが終了した状態だと、「既存機能の特定ワークロードで発生する問題」に対してのサポートレベルも変わってきます。問題がセキュリティに関係する問題であれば修正の対象となる可能性がありますが、それ以外の場合については、既存機能で発生していた問題については修正が行われません。
これが、メインストリームサポートの「セキュリティ以外の更新プログラムを要求機能」に該当するのですが、延長サポート期間になると、機能の問題についての修正も対象外となる可能性が高いということは意識しておく必要があります。
メインストリーム終了後の CU の提供について
SQL Server 2017 のメインストリームサポートは「2022/10/11」で終了しました。メインストリームサポートが終了すると CU は提供されなくなります。
SQL Serverの最新の更新プログラムとバージョン履歴 で提供されている修正プログラムが公開されていますが、SQL Server 2017 については、2022/09 に提供された CU31 がメインストリームサポート期間中に提供された最後の CU となっています。
メインストリームサポート期間内で提供された最後の CU については、次のような記載が追加されるようです。
メインストリーム期間内に提供された最後の CU であるということが明記されるようです。
2017 については CU32 は提供されず CU 31 で終了となりました。
延長サポート期間内の更新プログラムの提供について
SQL Server は 2023/02 にセキュリティ問題が判明し、セキュリティに関しての更新プログラムが提供されました。
SQL Server 2017 はメインストリームサポートが終了し、延長サポートのフェーズとなっていますが、更新プログラムがどのように提供されたかというと GDR として提供されました。
GDR については、2 種類公開されました。
- KB5021127 – SQL Server 2017 GDR のセキュリティ更新プログラムについて
- KB5021126 – SQL Server 2017 CU31 のセキュリティ更新プログラムについて
製品提供後のイメージ (RTM / GA) と、最新の CU 向けに GDR が提供されました。
SQL Server 2016 については、最新の Service Pack (SP3) 向けに GDR が提供されていたのですが、SQL Server 2017 については、「最新の Service Pack」という考えがなくなったため、RTM と 最新の CU の両方向けに GDR の公開が行われたようです。