従来まで、SQL Server ベースの環境のマイグレーションについては、Data Migration Assistant (DMA) / Azure Data Studio (ADS) の Migration 拡張機能を使用して、バージョンアップを含む移行の評価と移行を実行することができました。
DMA については、2025/07/16 に廃止となっており、ADS については 2026/02/28 に廃止がアナウンスされています。
今まではこれらのツールを使用して移行のための調査を実行していましたが、現在は調査方法が変わってきているので、情報を整理しておきたいと思います。
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SQL Server ベースの環境のマイグレーションパターン
Microsoft が提供する SQL Server ベースの環境のマイグレーションパターンとしては次のようなものがあります
- SQL Server から新バージョンの SQL Server に移行する
- SQL Server から Azure の SQL Server ベースの環境 (VM / Azure SQL DB / Azure SQL MI) に移行する
今まで、これらの移行パターンに対して、DMA / ADS を使用していましたが、現在はこれらのツールによる移行は推奨されておらず、最新の方法への移行が推奨されています。
SQL Server から新バージョンの SQL Server に移行する
従来の DMA で対応していたパターンとなり、このパターンは主に SQL Server のバージョンアップを想定したものとなります。
DMA では Data Migration Assistant を使用した SQL Server 移行評価の実行 を使用することでバージョンアップの評価を実施していました。
このパターンの移行には、SQL Server Management Studio 21 以降
に搭載がされている「Migrate SQL Server」の機能を使用することになります。
- General Availability of SQL Server Migration Component in SSMS 21
- SQL Server Management Studio で SQL Server 移行コンポーネントを使用する
DMA では、次の組み合わせの移行の評価をサポートしていました。
- ソース: SQL Server /AWS RDS for SQL Server
- ターゲット: SQL Server / Azure SQL Database / Azure SQL Database Managed Instance / SQL Server on Azure VM
SSMS で搭載された Migrate SQL Server では、上記のソース / ターゲットの中で、SQL Server 間の移行のみがサポートされています。
SSMS の移行機能でサポートされている SQL Server のバージョン (SQL Server 2019 以前のーバージョン) で、インスタンス名を右クリックすると「Migrate SQL Server」が表示され、移行のための操作を行うことができます。 ![]()
この UI は移行をサポートする SQL Server に SSMS で接続した場合に表示が行われるため、投稿を書いている時点では移行元としてサポートされていない SQL Server 2022 では UI が表示されません。(現在、サポートされているのが SQL Server 2022 までの移行となっているようですので、2025 がリリースされれば、2022 もサポートされるようになるかと
)
基本的な使用方法は DMA と同様となりますが、投稿時点では DMA で使用できていた次の機能は搭載されていないようでした。
- Azure VM SKU でオンプレミス データベースに適切な Azure SQL Database、Azure SQL Managed Instance、または SQL Server を識別する (SqlAssessment.exe )
- Using Data Migration Assistant to assess an application’s data access layer (アプリケーションからのクエリ実行)
- コマンド ラインから Data Migration Assistant を実行する (DMACMD.exe)
DMA では、Azure の SQL Server ベースの環境に移行する際に推奨される SKU を算出する機能として「SqlAssesment.exe」が提供されていましたが、この機能は含まれていないようでした。この機能については Azure の SQL Server ベースの環境の移行ツールを使用する必要があります。
こちらのほうがインパクトが大きいのですが、DMA では実行されたクエリに対して互換性レベル変更の影響を調査することができる機能があり、次の機能を活用できました。
- Data Migration Assistant を使用した SQL Server 移行評価の実行
- Using Data Migration Assistant to assess an application’s data access layer
「1.」は拡張イベント / トレースを使用したクエリの読み込みとなるのですが、こちらについては SSMS でも継続して使用することができます。
「2.」が DMA 固有の機能となるのですが、DMA には、外部のファイルに記載されているクエリに対して互換性をチェックするという機能が含まれており、DMV から取得したクエリをファイルに出力して、この機能を使用してクエリの互換性チェックを行うということができていました。
この機能については、SSMS の移行評価機能では含まれておらず、DB に含まれていないアドホックな実行をしているクエリの互換性の確認については、拡張イベントを使用した情報の取得を行う必要があるようです。
SQL Server から Azure の SQL Server ベースの環境に移行する
このパターンではデータベースの互換性の評価については DMA を使用し、実際の移行や推奨 SKU の取得については、ADS の拡張機能を使用していました。
ADS については、2026/02/28 に廃止となるため、投稿時点ではサポート対象となっており継続して使用することはできますが、後継の機能がリリースされています。
- 移行の準備状況を評価する – Azure Arc で有効になっている SQL Server
- New database migration experience for SQL Server enabled by Azure Arc ? Public Preview
- Seamless end-to-end SQL Server migration to Azure with Azure Arc
- General Availability: Continuous Migration Assessment for SQL Server Enabled by Azure Arc
Azure の SQL Server ベースの環境への移行については、Azure Arc 対応 SQL Server で、SQL Server を Azure に接続して評価を実行する必要があります。
Azure Arc で接続した SQL Server は、Azure に移行した場合の移行評価を実行することができるようになっており、Azure の SQL Server ベースの環境への移行のアセスメントを行うためには、Azure Arc で SQL Server を Azure に接続することを検討する必要が出てくるようです。
Azure への移行については 移行の概要: SQL Server から ドキュメントを確認することができますので、移行先に応じてドキュメントを確認しておくとよいかと思います。