Azure Local (プレビュー) 向け Azure Migrate ベースの VMware 移行の概要 でドキュメントが公開されていますが、Azure Migrate を使用して、Azure Local 上の仮想マシン (Azure Local VM 管理の管理対象 VM) としてレプリケーションをすることができます。
この時に使用されている技術についてメモをしておきたいと思います。
Contents
アプライアンスサーバー
Azure Migrate を使用した Azure Local への仮想マシンの移行ですが、アプライアンスサーバーを使用して移行が行われます。
アプライアンスサーバーは Azure Locak 向けのものを使用する必要があり、参考に記述したものは Azure Local 向けのアプライアンスの情報ではありませんので、構成の詳細を把握する際の参考として参照します。
- ソース アプライアンス: 手順 1: ソース VMware アプライアンスを作成して構成する
- MicrosoftAzureMigrationStackHCI.ova の展開方法
- 参考: VMware 環境でサーバーのアプライアンスを設定する
- MicrosoftAzureMigration.ova の展開となり、Azure Local 以外の環境にレプリケートする場合のアプライアンスについての情報となる
- ターゲット アプライアンス: 手順 2: ターゲット アプライアンスを作成して構成する
- AzureMigrateApplianceHCI_vxx.xx.xx.xx の展開方法
- 参考: Hyper-V 上のサーバーのアプライアンスを設定する
- AzureMigrateAppliance の展開となり、Azure Local ではない、通常の Hyper-V にレプリケートする場合のアプライアンスについての情報となる
Azure Portal からの設定の参照
本移行は、Azure Migrate を使用したものとなりますが、設定時の各種情報の確認方法に把握しづらい点がありますので、Azure Portal で設定を確認する際の画面遷移をまとめておきたいと思います。
- Azure Migrate プロジェクトへの接続方法の確認
- Azure Migrate -> 管理 -> プロパティ
- パブリックエンドポイント / プライベートエンドポイントのどちらを使用しているかを確認
- 展開したアプライアンスの確認
- Azure Migrate -> 移行の目標 -> サーバー、データベース Web アプリ -> 評価ツールの Azure Migrate: Discovery and assessment の概要リンク
- 管理 -> アプライアンス
- 登録のためのキーが未使用の場合、この画面から生成したキーを確認することができる
- プロジェクトの詳細 -> プロパティ
- プロジェクトの情報と使用している Key Vault の確認
- 使用している Recovery Services コンテナーの確認
- Azure Migrate -> 移行の目標 -> サーバー、データベース Web アプリ -> 移行ツールの 移行およびモダン化 の概要リンク
- 設定 -> プロパティ
- 使用している Recovery Services コンテナー / Data replication vault が確認できる
移行方法
移行方法としては各仮想マシンにエージェントをインストールしない エージェントレス による移行が行われるという認識です。
「使用している Recovery Services コンテナーの確認」の情報を確認すると、VMware エージェントレスが使用されていることを確認できます。
通信要件
必要となる通信については、Azure Migrate を使用した Azure Local への VMware 移行の前提条件 (プレビュー) の前提条件に記載が行われています。
各アプライアンスでデータのレプリケーションを行う中核のサービスは「Microsoft Azure Gateway Service (asrgwy)」(GatewayWindowsService.exe) となるようで、レプリケーションについてはこのプロセスからの通信が重要となっているような気がします。
レプリケーションの基本的な考え方については レプリケーション プロセス が参考となります。
- ソース アプライアンス
- ストレージアカウントにレプリケーションのメタデータを格納
- ESXi の TCP 902 (vCenter Server Agent) を使用して VMware 環境にアクセスし、レプリケーション対象のデータを取得
- 仮想マシンをホストしている ESXi にアプライアンスから直接する必要があるようです。
- Azure Local クラスターの TCP 445 (SMB) にアクセスし、CSV 上にログデータを書き込み
- ターゲット アプライアンス
- ストレージアカウントにレプリケーションのメタデータを格納
- Azure Local クラスターの TCP 445 (SMB) にアクセスし、CSV 上のログデータを読み込み
- Azure Local クラスターの TCP 445 (SMB) にアクセスし、読み込んだログデータを CSV 上のシードディスクに書き込み
このような処理が基本的な動作となるのではないでしょうか。
サービス
レプリケーションのために使用されているサービスとしては次のようなものがありそうでした。
Microsoft Azure Gateway Service (GatewayWindowsService.exe) がレプリケーションを実施する際の中心的なサービスとなっているようで、、移行のためのデータ通信は主にこのプロセスから発生しているようです。
ソース アプライアンス
- Azure Site Recovery Management Service (asrmgmtsvc)
- C:\Program Files\Azure Site Recovery Management Service\asrmgmtsvc.exe
- Microsoft Azure Gateway Service (asrgwy)
- C:\Program Files\Microsoft Azure Gateway Service\GatewayWindowsService.exe
- Microsoft Azure MySQL Discovery and Assessment Service (ammysqlsvc)
- C:\Program Files\Microsoft Azure MySQL Discovery and Assessment Service\MySQLService.exe
- Microsoft Azure SQL Discovery and Assessment Service (amsqlsvc)
- C:\Program Files\Microsoft Azure SQL Discovery and Assessment Service\SqlService.exe
- Microsoft Azure VMware Assessment Service (amvmwassessmentsvc)
- C:\Program Files\Microsoft Azure VMware Assessment Service\VMWareCollectorService.exe
- Microsoft Azure VMware Discovery Service (amvmwdiscoverysvc)
- C:\Program Files\Microsoft Azure VMware Discovery Service\VMWareDiscoveryService.exe
- Microsoft Azure Web App Discovery and Assessment Service (amwebappsvc)
- C:\Program Files\Microsoft Azure Web App Discovery and Assessment Service\WebAppService.exe
ターゲット アプライアンス
- Azure Site Recovery Management Service (asrmgmtsvc)
- C:\Program Files\Azure Site Recovery Management Service\asrmgmtsvc.exe
- Microsoft Azure Gateway Service (asrgwy)
- C:\Program Files\Microsoft Azure Gateway Service\GatewayWindowsService.exe
レプリケーションのアーキテクチャ
VMware 上の仮想マシンをレプリケーションする際の詳細な動作については、次のドキュメントから確認できます。
VMware 上の仮想マシンをレプリケーションする際には、変更ブロック追跡 (CBT) により変更のブロックの追跡が行われ、スナップショットの取得と、VMware Virtual Disk Development Kit (VDDK) により変更されたデータの取得が行われているようです。(レプリケーションを有効にすると仮想マシンの設定として CBT が有効化され、-ctk.vmdk ファイルが作成された状態になります)
レプリケーションは スケジュール ロジック の間隔で実施されているようで、初期の状態では 1 時間程度の間隔で差分同期が行われていました。
差分同期時には VMware の仮想マシンでスナップショットの取得が行われるため、この挙動からもどの程度の間隔で同期が行われているかを確認できます。
データ同期の仕組みについてはこのあたりの技術を確認していくことで、挙動を把握していくことができそうです。