先日、Azure Shared Disk の Preview についての情報が公開されました。
- Announcing the preview of Azure Shared Disks for clustered applications
- Azure shared disks
- Enable shared disk
- Azure shared disks (FAQ)
Azure 上に構築した SQL Server on Azure VM では、今までも FCI (フェールオーバークラスターインスタンス) を構築することができたのですが、次の情報のようにストレージスペースダイレクトや、Premium Fire Share を使用した構成をとる必要がありました。
- Azure Virtual Machines で SQL Server フェールオーバー クラスター インスタンスを構成します。
- Azure Virtual Machines で Premium ファイル共有を使用して SQL Server フェールオーバー クラスター インスタンスを構成する
今回、発表された Azure Shared Disk を使用することで、従来までの構成と比較してシンプルな FCI の構成が取れるようになります。
VM にディスクを接続する際に、Shared Disk を有効化するオプションは表示されるのですが、実際に使用するためには、プレビュープログラムの登録を実施する必要があり、すぐに検証できるというわけではないようです。
(サブスクリプションで Microsoft.Compute/SharedDisksForPremium の機能の有効化が行われている必要があるようです)
現状の制限などについては Azure shared disks / Enable shared disk から確認することができます。
Limitations
While in preview, managed disks that have shared disks enabled are subject to the following limitations:
- Currently only available with premium SSDs.
- Currently only supported in the West Central US region.
- All virtual machines sharing a disk must be deployed in the same proximity placement groups.
- Can only be enabled on data disks, not OS disks.
- Only basic disks can be used with some versions of Windows Server Failover Cluster, for details see Failover clustering hardware requirements and storage options.
- ReadOnly host caching is not available for premium SSDs with
maxShares>1
.- Availability sets and virtual machine scale sets can only be used with
FaultDomainCount
set to 1.- Azure Backup and Azure Site Recovery support is not yet available.
使用可能なリージョンや、各 VM を近接配置グループ に作成する必要があること、障害ドメインは 1 に設定されている場合のみ使用することができるというような環境面の制約があるようですので、構築時にはこれらの設定は気を付けておく必要がありそうですね。
使用可能なディスクについても「P15」(256 GB) 以上となっています。
プレビューのアナウンスでは次のような記載があります。
With Azure Shared Disks, customers now have the flexibility to migrate clustered environments running on Windows Server, including Windows Server 2008 (which has reached End-of-Support), to Azure.
Windows Server でクラスターを組んでいる環境を Azure に移行する際の柔軟性について触れられていますが、Windws Server 2016 より前の Windows Server では、クラウド監視 を使用することができないため、それ以外の方法でクォーラムの設定を行う必要があります。
オンプレミスでは、1GB 程度の共有ディスクを Q ドライブに割り当ててクォーラムディスクを使用しているケースが多いのではないでしょうか。
このような構成を Azure に移行しようとした場合は、最小でも 256 GB のディスクをクォーラム用の共有ディスクとして割り当てる必要がありますので、ディスクにはかなり無駄が出てしまいます。
(ノードマジョリティや同一ドメイン内の共有ディレクトリを使用した構成に切り替えた方がコストが抑えられるかもしれません)
また、SQL Server を FCI として構築している場合、クラスター化された DTC を使用されていることもありますので、その場合も専用のディスクが必要となりますので、ここでも 256 GB のディスクを使用することになります。
クォーラムや MSDTC については 1GB 程度のディスクが割り当てられれば良いのですが、現状は 256 GB のディスクを割り当てる必要が出てきますので、もう少し小さなディスクが提供されると嬉しいのですが。